社会人2年目の娘に「ねんきん定期便」が届きました。学生時代の未納があるのですが、「学生納付特例制度」を利用していたので大丈夫ですよね?

追納しないと年金の金額には反映されない

学生納付特例制度を利用しても、保険料はあくまでも納付を「猶予」されただけで「免除」されたわけではありません。免除と猶予の大きな違いは、将来もらえる年金額に反映されるかされないかという点です。

 

もし20歳から40年間保険料を納めれば、老齢基礎年金の受給額は満額となり、2024年度は月額で6万8000円、年額に直すと81万6000円となります。

 

しかし、例えば20歳から社会人になるまでの2年間、学生納付特例制度を利用して追納しなかった場合、老齢基礎年金の受給額は月額6万4600円、年額に直すと77万5200円となり、受給額が年間4万800円減少します。もし、65歳から女性の平均寿命である87歳まで22年間年金を受給するとすれば、受給総額の差は約90万円です。

 

追納の効果は思ったよりも大きい

追納するときの保険料額は猶予を受けた時期によって違いますが、現在の保険料で計算しても、2年分で「1万6980円×24ヶ月=40万7520円」です。87歳まで22年間年金を受給したと仮定した約90万円の差をどう考えるかにもよりますが、保険料負担の2倍以上が受給可能と考えれば、追納の効果は少なくありません。

 

ほかにも追納した保険料は社会保険料控除として節税対策にもつながります。一気に2年分の追納は難しいかもしれませんが、10年という長い期間の中であれば、追納のハードルもそれほど高くはないのではないでしょうか。

 

県外の大学に進学していた場合など、学生納付特例の申請を親が代理で行う場合もあるため、学生の頃は遠い将来の話である年金への関心は薄くなりがちです。また、年金に対する漠然とした将来不安もあるかもしれません。

 

しかし、社会人になって収入を得るようになった時こそ、追納するメリットを把握して検討することが大切です。もし、学生納付特例制度を利用して保険料を追納していないことに親が気づけば、その時は親が子どもに追納のアドバイスをするのもよいでしょう。

 

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