職場で新卒は「定時30分前」に来て、掃除とお茶くみをしろと言われています。みなし残業だからと「残業代」も出ないようですが、これって普通ですか?「タイムカード」も押せてません…

会社によっては「新人は定時前に出社して雑用をこなす」ことがルールとなっていることも少なくないでしょう。部署の先輩や上司が気持ちよく働くために新人がやるのは当たり前、といわれると納得してしまうかもしれません。
 
しかし、これが法律上許されているのかは別問題です。本記事では、業務と労働時間がどう定義されているか見ながら、定時前の雑用が残業に当たるのか解説します。

朝の掃除とお茶入れも立派な業務

厚生労働省によると、労働時間は「労働契約、就労規則、労働協約等の定めで決まるものではなく、使用者の明示的・黙示的な指示により労働者が業務を行う時間は労働時間に当たります」としています。

 

新人に課せられている定時30分前の掃除やお茶入れについて、上司や先輩に直接指示された場合はもちろん、暗黙の了解で新人の仕事になっている場合も立派な業務です。定時前の残業代を支払わないと決めている会社もありますが、これも法的には認められません。

 

定時前の活動で労働となるものとならないもの

なお、定時前に来ているからといって全てが労働時間になるわけではありません。例えば「早く出社してコーヒーを飲んでいる」「朝刊や本を読んでいる」だけなのであれば、業務とはいえません。

 

また掃除やお茶入れであっても、暗黙のものも含めて指示がなく自発的にやっている場合は労働時間とならない可能性が高いでしょう。

 

一方で制服への着替えなど、会社から義務付けられている作業準備は労働時間に含まれるとされています。

 

みなし残業だからといって残業代を払わないのも間違い

みなし残業は固定残業とも呼ばれるもので、「どんなに働いても残業代が固定される仕組み」だと考える会社は少なくありません。この考えが正しければ、「定時前出社が労働時間であったとしても、もらえる給料は結局一緒だよ」と言われて納得してしまうでしょう。しかし、「みなし残業=残業代が固定」ではありません。

 

みなし残業はあくまでも最初から一定の残業代を含めた金額を固定給とする仕組みです。例えば1ヶ月に10時間の固定残業代が支払われている場合、1ヶ月の残業代が8時間であっても10時間分の残業代がもらえます。一方で月の残業時間が15時間の場合は10時間分の固定残業代に加えて、超過分5時間分の残業代がもらえるのです。

 

1ヶ月の出勤日が22日の場合、1日30分でも月の残業代は11時間となります。ほかに残業していなくても例えばみなし残業代が10時間と規定されている場合、不足している1時間分の残業代が追加でもらえるはずですし、もちろんほかに残業した場合は追加で残業代がもらえるのです。

 

したがって、みなし残業が採用されている場合でも、会社は定時前の掃除・お茶入れを業務時間としてカウントし、残業代を支払わなければなりません。

 

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