今年の新卒社員の「チャットの返信」が遅すぎます。業務に支障が出るので「休みの日でもすぐ返信」と言っているのに守りません。今どきの若者ってこれが「普通」なんでしょうか?

チームで業務に当たるときに大切なのが、報告、連絡、相談の「報連相」ですが、新卒社員の場合は徹底できないことがあり、頭を悩ませる先輩社員も多いでしょう。「どんなことでもすぐに報告しなさい」、「こちらの問いかけにはすぐに返事をしなさい」と指導することは、会社のためにも、新卒社員本人の将来のためにも重要です。
 
しかし、それが行き過ぎて休みの日でもチャットの返信を求めることは問題です。本記事では、休日にチャットでの返事を求めることの問題点について解説します。

休日とは労働から解放されている状況

労働契約において休日とは「労働義務が免除されている日」をいい、会社は労働基準法にのっとって、毎週少なくとも1日の休日か4週間を通じて4日以上の休日を与えなければいけません。

 

休日は労働義務がない状態であり、労働者は自由に過ごす権利があります。

 

休日にチャットの返信を求めるのは何が問題?

休日にチャットの返信を求める行為は、大きく分けて2つの問題が生じる可能性を秘めています。1つは労働基準法に違反している可能性があること、もう1つはパワハラになるかもしれないことです。

 

チャット返信の強要は労働とみなされる可能性が高い

一般的に「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」は労働時間とされています。チャット返信を義務化してしまうと、チャット返信自体が業務とみなされる可能性があるのです。

 

業務とみなされれば、チャット返信にかかった時間は労働時間にカウントされるため、賃金を払わない場合は違法となります。

 

チャット返信の強要がパワハラになる可能性がある

厚生労働省では、以下の3つの要素を満たすものをパワハラと定義しています。

・優越的な関係にもとづいて(優位性を背景に)行われること

 

・業務の適正な範囲を超えて行われること

 

・身体的もしくは精神的な苦痛を与えること、または就業環境を害すること

例えば上司という立場を利用して、緊急ではない要件に対しても即時の返信を求め、返信が遅かったことに対して叱責(しっせき)することで、部下が精神的な苦痛を感じた場合はパワハラに該当する恐れがあります。

 

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