住宅ローン返済途中の父が病気で長くありません。亡くなった場合、残りの返済額は息子の私が支払わなければいけないのでしょうか?

親が亡くなることは残された家族の心に大きな負担を与えます。同時に、経済的な不安が問題になることが多いようです。特に、住宅ローンが完済していないで親がなくなったときの返済の扱いは、子どもの立場では現実的に気になる問題でしょう。
 
この記事では、住宅ローンを相続する際の団体信用生命保険と、相続税の扱いについて解説します。

住宅ローンと団体信用生命保険

親が住宅を購入した際のローン残高が、残された家族にとっての不安要素になることはあります。しかし、多くの場合、この負担を家族が引き継ぐことはないでしょう。というのは、ローン契約時に必ずといっていいほど団体信用生命保険に入ることになるからです。この保険があれば、契約者が亡くなった時点で、保険金がローン残高と同額をカバーし、返済が完了します。

 

例えば、ある家族が住宅ローンで3000万円を35年の期間で借り入れたとします。契約者が亡くなった時点で残高が2000万円だった場合、団体信用生命保険から2000万円が支払われ、ローンは完済されるのです。

 

こうして、遺族は返済の心配なく、その家に住み続けられます。とはいえ、全てのケースでこの保険に加入できるわけではありません。加入の際には健康状態の告知が求められ、特定の病歴があると保険の適用外になることもあります。

 

この仕組みにより、契約者が亡くなった場合に遺族が直面する経済的な負担は大幅に軽減されます。団体信用生命保険の存在は、住宅ローンを利用して家を購入する際の重要なセーフネットといえるでしょう。

 

住宅ローンと相続税

相続という観点から見ると、被相続人の死去に伴い、残された財産の中には住宅ローンの残高が含まれることがあります。相続税の計算では、さまざまな要因が影響する中で、この債務の扱いは特に注意が必要です。団体信用生命保険に加入していると、保険金によりローン残高が清算され、相続税の対象からは除外されます。

 

仮に、被相続人が住宅ローンのために5000万円の債務を抱えていた場合、団体信用生命保険によりその債務が清算されれば、相続財産の計算対象になりません。

 

団体信用生命保険未加入で生命保険にも加入していなかった場合、残された家族は被相続人の財産または自身の財産からローンを返済する必要があります。この場合、ローン残高は債務として相続税の計算において差し引かれますが、ローンで購入した不動産は相続税の対象となります。また、債務を控除していない場合でも、不動産は相続税の対象となります。

 

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