「3・4・5月」に残業をすると、社会保険料が「約3万6000円」アップ!?「4・5・6月」じゃないの? 注意が必要な月についても解説

会社員の中には、「春に残業をしないほうがよい」と聞いたことがあるのではないでしょうか。もっと詳しく知っている人であれば、「4・5・6月に残業をしないほうがよい」とまで理解しているかもしれません。ただ、人によっては「3・4・5月」の場合もあります。
 
本記事では、春に残業をしないほうがよい理由を解説し、なぜ異なる時期の情報が出ているのかについても考えてみます。

「春に残業をしないほうがよい」のは社会保険が上がるから

なぜ、春の残業に気を付けたほうがよいのでしょうか。それは、社会保険の算定基礎届に記載される対象期間だからです。給与から天引きされる社会保険料は、日本年金機構が社員それぞれに定めた「標準報酬月額」をもとに算出されています。

 

そして、標準報酬月額は給与をベースに決定されますが、昇給などによる給与の変動を考慮するため、「定時決定」というタイミングが毎年7月に設けられています。定時決定の具体的な手続きは、会社が日本年金機構へ「算定基礎届」を提出することで行われますが、ここに記載される給与は、4・5・6月の3ヶ月間のものになります。

 

よって、この3ヶ月間の給与が高ければ社会保険料も高くなりますし、給与が少なければ社会保険料も少なくなるというわけです。「春に残業をしないほうがよい」というのは、「給与をできるだけ少なくしたほうがよい」という意味なのですね。

 

「4・5・6月」と「3・4・5月」どちらが正しい?

算定基礎届に記載される給与は、4・5・6月の3ヶ月分と前述しました。そしてこれは、「支払い日が属する月」です。

 

よって給与の計算サイクルが月末締め翌月10日払いの場合、3・4・5月に働いた分の給与が4月10日・5月10日・6月10日に支払われるため、働いた月(3・4・5月)と対象となる給与を受け取る時期(4・5・6月)にズレが生じます。

 

また、残業手当を翌月払いとしている企業の場合も、3・4・5月の残業が多いと4・5・6月の標準報酬月額が上がることになります。

 

給与の計算サイクルは会社によって違うことから、残業しないほうがよい月が、「4・5・6月」と「3・4・5月」のパターンに分かれるのです。どちらも間違ってはいないということですね。

 

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