親が亡くなって兄弟や親族と遺産分割をすることになりました。遺産分割の仕方で税額が変わるって本当ですか?

相続税や所得税への影響は?

相続税は、取得財産の割合によって相続税を負担しますので、仮に相続税額が合計100万円の場合、半分を相続した人は50万円を、4分の1を相続した人は25万円を納税します。よって、現物分割をすれば、各相続人がいくら納税するのかはすぐに計算できるでしょう。また、共有分割による場合は、持ち分に応じて財産を取得したものとして税額を計算します。

 

ただし、相続税は現金一括納付が原則ですので、不動産や有価証券を取得した場合、現金がなければその不動産等を売却して納税資金を作ります。しかし、不動産等を売却した際は、譲渡所得として所得税の課税対象となるので注意が必要です。

 

さらに、相続人が被扶養者の場合、譲渡所得の発生によって扶養対象から除かれるケースもありますので、そこも注意が必要です。

 

また、換価分割の場合は上記のとおり、相続財産を売却し、売却代金を各相続人間で分ける方法ですが、被相続人名義のまま売却はできませんので、便宜的に代表の相続人の名義で登記手続きをします。よって、登記上は代表1人の相続人が不動産を売却することになりますが、換価分割のための不動産売却であれば、事実上、売却資金を受け取る割合で各相続人が売却したことになるため、各相続人が所得税の申告手続きをする必要があります。

 

代償分割の場合は、代償金を受け取った相続人は、代償金が相続によって取得した財産額となるので、相続税を支払う場合もあります。

 

分割方法のメリット・デメリットをよく考えて

上記のとおり遺産分割の方法には4つありますが、それぞれメリット・デメリットがあります。選択した方法がベターなのかは相続人間の関係の問題もありますし、税務上の問題もあります。現預金や上場されている有価証券の場合は換金性が高いため、それほど問題になることはありませんが、不動産や未上場の株券等流動性が低い資産の場合はどのように分割するかだけでなく、その後の納税のことも考えて分割する必要があります。

 

執筆者:田久保誠

田久保誠行政書士事務所代表

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