年金暮らしを控えていますが、「生活保護」を申請した息子の「扶養照会」の通知がきました…断ることはできますか?

親族が生活保護を申請すると、扶養照会の書面が届くケースがあります。扶養照会は、生活保護を申請した方に対して何かしらの支援ができるかを両親などの扶養義務者に問い合わせるものです。
 
しかし、年金暮らしを控えており、息子の援助をする余裕がない場合に「扶養照会」を断れるのか疑問に思う方もいるでしょう。
 
今回は、生活保護の扶養照会を断ることができるかどうかについてご紹介します。

扶養照会とは

生活保護は、国が定める最低生活費の基準に収入が満たない場合に支給されます。この収入とは、働いて得る給料や年金だけでなく、親族からの支援金も対象です。厚生労働省によると、扶養義務者からのサポートの有無も、生活保護の審査要件の一つとしてあげられています。

 

そこで、生活保護の申請をしたときに行われる可能性のある仕組みが「扶養照会」です。扶養照会とは、生活保護を申請した親族に支援ができないかを確認するための通知で、必要に応じて該当者に送られます。

 

扶養義務を有する親族は法律で定められており、直系血族や兄弟姉妹を中心に、状況に応じて三親等内の親族まで扶養義務が課せられる可能性があります。息子が生活保護を受けようとすると、状況によっては両親に扶養照会が送られる可能性があります。

 

親が扶養を断っても子どもは生活保護を受けられる?

法律で扶養義務と書かれてはいますが、必ずしも扶養しなければならないわけではありません。さまざまな理由で生活保護を申請した方と疎遠になっていたり連絡を取りたくなかったりするケースもあるためです。

 

厚生労働省によると、扶養義務が履行できないと判断される可能性のある方として、以下の例があげられています。

●おおむね70歳以上の高齢者

●未成年者

●社会福祉施設の入所者

●生活保護被保護者

●長期入院患者

●専業主婦(主夫)など

●10年以上交流がないなど縁が切れていると判断される者

●生活保護申請者にお金を貸しているなどの事情で扶養できない者

定年後で年金暮らしをする方はおおむね70歳以上とみなされ、そもそも扶養義務が履行できないと判断される可能性もあります。

 

扶養照会には、支援(扶養)ができるか否か、また可能であればどの程度の支援ができるのかなどを記載する欄があります。実際に通知が届いても支援ができない場合は、扶養照会にその旨を記載して返信すれば問題ないでしょう。

 

仮に扶養できなかったとしても、息子が生活保護を受けられなくなるわけではないようです。厚生労働省「生活保護制度」にも「親族等から援助を受けることができる場合は、援助を受けてください。」と記されており、必須事項ではないことが分かります。

 

金銭面以外で支援する方法もある

生活保護の扶養照会の書類には、金銭的支援のほかに精神面での支援ができるかを回答する欄もあります。もし息子との関係が悪いわけではなく、できる範囲で支援をしたいと考えているのなら、メールや電話をするなど精神面で支えることも検討しましょう。

 

金銭的な支援ができなくても、精神的に支えることで息子にとって心のよりどころとなる可能性もあります。

 

関連記事: