●参加者は延べ100人超、記者になって現地を取材する人も
2017年、大学の友人に「一緒に行かない?」と声をかけ、初めて被災地を案内した。すると、「行ってよかった」と言ってくれた。その後、マスコミへの就職を目指す同世代の知り合いも誘うようになった。
猪股さんは大学卒業後の就職で広島に引っ越したため、活動を一時中断したこともあったが、転職して東京に住むようになってから再開した。
スタディーツアーの訪問先は大きく3つある。宮城県石巻市、福島県大熊町、そして日航ジャンボ機が墜落した群馬県上野村の現場「御巣鷹の尾根(おすたかのおね)」だ。
現地では、遺族の説明を受けたり、震災遺構を見学したりして、災害や事故の教訓を肌身で感じて学ぶ。
これまでに連れて行った若者は延べ100人を超えるという。参加した後に記者となり、再び現地を取材する人もいる。

●「大事な存在」遺族も信頼を寄せる活動
福島県大熊町で活動する「大熊未来塾」の木村紀夫さん(60)は、2022年に猪股さんと出会った。
震災で行方不明になった次女の汐凪(ゆうな)さんの遺骨を捜索し続ける木村さんの元へ、猪股さんは一人で足を運び、やがて同世代の若者たちを連れて行くようになった。
猪股さんが連れてきた学生が、自分の通う大学で木村さんの講演会を企画したこともあった。
「若い学生に何かを感じて持って帰ってもらえて、すごくありがたい。ここに来る人はいますが、ここまで深く関わってくれる人は猪股さんの他にいません。大事な存在です」(木村さん)


