心房細動におけるアブレーション治療とは?
心臓のなかで、正常とは違う電気信号が発生したり、異常な電気回路が形成されたりすることがあります。その異常な電気信号、電気回路のために、極端に脈が速くなったり、乱れたりします。心臓内の電気が乱れると、心筋の収縮が不規則となり、脈が乱れます。このように心臓内の電気の異常で脈が乱れることを不整脈といいます。この不整脈を治療するのがアブレーション治療です。心筋症などを合併している場合でも、カテーテルアブレーションの適応となる不整脈があれば治療を行います。
心房細動の原因となる異常な電気信号は、左心房につながる肺静脈という血管から発生することが報告されています。心房細動のアブレーション治療は、肺静脈と左心房の接続部を焼灼し、肺静脈から左心房に電気が伝わらないようにすることが目的です。
高周波アブレーション
カテーテル先端(電極)に高周波電流を流して、心臓組織を焼灼する(50℃前後で加熱)治療です。左心房と肺静脈の接続部(肺静脈入口部)を取り囲むように焼灼します。そうすることで肺静脈からの異常な電気信号が心臓に伝わらないようになり、心房細動の発症を抑制することができます。
レーザー照射内視鏡バルーンアブレーション
赤外線レーザー(波長980mm)を照射することにより、肺静脈入口部を取り囲むように焼灼する治療です。カテーテル先端にあるバルーン(風船)を拡張し、肺静脈入口部にしっかり密着させることで血液が入らないようにした後、バルーン内に取り付けてある内視鏡で中の様子を見ながらレーザーで焼灼します。バルーンは追従性がよいため、いろいろな肺静脈入口部の形に適応することができます。
クライオバルーンアブレーション
肺静脈入口部にバルーン(風船)を密着させ、液化亜酸化窒素をバルーン内に送りこむと、気化熱によりバルーンがマイナス50℃前後に超低温化されます。バルーンが冷却されると、接触している心筋に冷凍傷害が起こり、傷害部位が絶縁体となることで、肺静脈からの異常な電気が心房に入り込まなくなります。
高周波ホットバルーンアブレーション
他のバルーンと同様、肺静脈入口部にバルーンを密着させます。その後、高周波通電によってバルーン内の液体を暖め、肺静脈入口部に密着させたバルーンとの接触部分を熱伝導によって加熱し、焼灼します。バルーンの中心温度は最大70℃まで上昇します。
パルスフィールドアブレーション
2024年9月1日に保険適応となった治療法です。
専用のカテーテルを肺静脈入口部に持っていき、パルス電流(極端に短い、瞬間的な電流)を肺静脈入口部に流します。それにより細胞に微小な穴を開け、肺静脈入口部周囲の心筋を選択的に細胞死させることができます。心筋のみを特異的に傷害することができるため、既存のアブレーションと比較し、心臓以外の組織への障害の軽減に期待されています。
頻脈性心房細動の治療法
薬物療法
循環器科のある病院で行います。基本的に入院は不要で、外来で治療します。
上記抗凝固療法のほかに、脈を整える薬や脈を遅くする薬を使用します。
脈の整える治療はリズムコントロール治療といいます。心房細動を正常の脈に治す薬を使用します。
脈を遅くする治療はレートコントロール治療をいいます。心房細動はそのまま持続しますが、脈拍をゆっくりさせる薬を使用します。
カテーテルアブレーション
カテーテルアブレーションには高周波アブレーション、各種バルーンアブレーション、パルスフィールドアブレーションがあります。入院はいずれも3~4日程度となり、退院後は早期に日常生活に復帰することが出来ます。
どの治療を選択するのかに関しては、心房細動の持続時間、左心房の大きさ、形態、病院の設備などを複合的に判断して決定されます。

