鼻ポリープの原因とは?メディカルドック監修医が鼻ポリープの原因・放置するリスク・症状・できやすい人の特徴・治療法や何科へ受診すべきかなどを解説します。

監修医師:
小島 敬史(国立病院機構栃木医療センター)
経歴
2006年3月慶應義塾大学医学部医学科卒
2008年3月佐野厚生総合病院初期臨床研修修了
2008年4月慶應義塾大学耳鼻咽喉科学教室所属
2013年9月慶應義塾大学病院助教として勤務
2018年8月米国ノースウェスタン大学耳鼻咽喉科で遺伝性難聴の基礎研究に従事
2021年5月〜国立病院機構栃木医療センター耳鼻咽喉科医長(現職)
【資格等】
日本耳鼻咽喉科学会専門医・指導医、日本耳科学会認定医、補聴器相談医、補聴器適合判定医
所属学会:日本耳鼻咽喉科学会、日本耳科学会、日本聴覚医学会、耳鼻咽喉科臨床学会
「鼻ポリープ」とは?
鼻ポリープは、鼻茸(はなたけ)とも呼ばれます。頬や額の内側に位置する副鼻腔という空洞の粘膜が炎症を起こし、ゆっくり増大し、鼻の中にキノコのように飛び出てくる良性の隆起です。これができると、鼻づまりや匂いの分かりにくさ、頭痛などを引き起こすことがあります。
鼻ポリープができる原因
鼻ポリープができる主な原因は、アレルギー性の炎症が関与する慢性副鼻腔炎です [1-3]。ただし、鼻の中にできる隆起物がすべて鼻ポリープとは限らず、中には腫瘍である可能性も否定できません。そのため、自己判断せずに耳鼻咽喉科で正確な診断を受けることが非常に重要です。
好酸球性副鼻腔炎
鼻ポリープの原因として近年注目されているのが、好酸球性副鼻腔炎です [2]。これは、アレルギー反応に関わる白血球の一種である好酸球が、鼻や副鼻腔の粘膜で過剰に集まることで起こる特殊な副鼻腔炎です。この病気では、粘り気の強い鼻水、しつこい鼻づまり、そして嗅覚障害(匂いがわからない)といった症状が強く出ることが特徴です [2]。喘息を合併していることも多く、一般的な副鼻腔炎の治療では改善しにくい難治性の病気とされています。もし、両方の鼻にポリープがあり、匂いが分かりにくく、喘息もある場合は、この病気を疑い、耳鼻咽喉科専門医のいる病院を受診してください。緊急性はありませんが、放置すると嗅覚が戻らなくなる可能性もあるため、早めの受診が推奨されます。
従来型の慢性副鼻腔炎
従来の慢性副鼻腔炎、いわゆる蓄膿症も、鼻ポリープの原因となります [1]。これは、風邪などをきっかけに細菌やウイルスの感染が長引き、副鼻腔の粘膜に慢性的な炎症が起こることで発症します。症状としては、色のついたネバネバした鼻水、鼻づまり、後鼻漏(鼻水が喉に流れる感覚)、咳、頭痛、顔面の圧迫感、悪臭などが挙げられます [1]。好酸球性副鼻腔炎とは異なり、片側だけに症状が出ることもあります。これらの症状が3ヶ月以上続く場合は、慢性副鼻腔炎が疑われます。お近くの耳鼻咽喉科を受診し、内視鏡検査やCT検査で副鼻腔の状態を確認してもらうと良いでしょう。
副鼻腔乳頭腫
鼻ポリープと見た目が似ていても、良性であっても注意が必要な腫瘍として、鼻腔内反性乳頭腫があります。初期症状は鼻づまりや鼻血ですが、放置すると大きくなり、周囲の骨を破壊したり、まれにがん化(扁平上皮がん)したりすることが知られています。片側だけの鼻づまりや、繰り返す鼻血がある場合は、単なる鼻ポリープと決めつけず、腫瘍の可能性も考慮する必要があります[1]。この場合も耳鼻咽喉科を受診し、内視鏡検査やCT、MRI検査を受け、組織を採取して病理検査を行うことが確定診断のために必要です。
アスピリン喘息(アスピリン不耐症)
一部の鼻ポリープは、特定の薬剤に対する過敏性と関連しています。アスピリン喘息(正しくは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)過敏喘息)と呼ばれる状態です。解熱鎮痛薬(アスピリンやイブプロフェンなど)を使用すると、喘息発作や鼻ポリープの悪化を引き起こす体質の方に見られます [3]。この場合、重度の鼻づまりと嗅覚障害を伴う難治性の好酸球性副鼻腔炎を合併していることがほとんどです。解熱鎮痛薬を飲んで喘息発作や鼻づまりが悪化した経験がある方は、必ず医師に申告してください。耳鼻咽喉科と呼吸器内科、アレルギー科が連携して治療にあたる必要があります。
アレルギー性真菌性副鼻腔炎
まれな原因として、真菌(カビ)に対するアレルギー反応が原因で鼻ポリープが発生することがあります。これはアレルギー性真菌性副鼻腔炎と呼ばれ、副鼻腔内にアレルギー反応によって生じた粘着性の高い鼻水や真菌の塊が溜まります。症状は片側の鼻づまりや頬の腫れ、顔面痛などが多いです。CT検査やMRI検査で特徴的な所見が見られることが多く、治療は手術によって副鼻腔内の真菌塊やムチンを除去し、副鼻腔を清掃することが基本となります[1]。

