鼻ポリープを放置した場合のリスク
鼻ポリープは良性の腫瘤ですが、その原因となっている炎症を放置することには様々なリスクが伴います。
難治性の嗅覚障害
鼻ポリープが大きくなると、匂いを感じる神経がある鼻の天井(嗅裂部(きゅうれつぶ))を物理的に塞いでしまいます。また、好酸球性副鼻腔炎などでは、炎症自体が嗅覚の神経細胞にダメージを与えます [2]。初期段階であれば治療によって嗅覚が回復することもありますが、長期間放置すると神経へのダメージが回復不可能なレベルになり、治療後も匂いが戻らない、永続的な嗅覚障害に陥るリスクがあります。
喘息の悪化や合併
鼻ポリープ、特に好酸球性副鼻腔炎は、気管支喘息と密接に関連しています [2, 3]。鼻と気道は「共通した一つの道(One airway, One disease)」という考え方があり、鼻の炎症が気管支の炎症にも影響を与えます。鼻ポリープを放置すると、鼻の炎症が悪化し、それが引き金となって喘息の発作が頻繁になったり、重症化したりするリスクがあります。逆に、鼻ポリープの治療を適切に行うことで、喘息の症状が改善することも多く報告されています。
生活の質の低下
鼻ポリープによる持続的な鼻づまりは、睡眠の質を大きく低下させます。十分に眠れないことで日中の眠気や集中力の低下、疲労感を引き起こします。また、匂いがわからないことで食事の楽しみが失われたり、味覚にも影響が出たりします。さらに、頭痛や顔面痛が続くこともあり、これらの症状が複合的に関わり、日常生活や仕事、精神的な健康にまで悪影響を及ぼし、生活の質(Quality of Life: QOL)を著しく低下させることになります [3]。
鼻ポリープの症状
鼻ポリープの症状は、その大きさや発生部位、原因となっている病気によって様々です。
鼻づまり(鼻閉)
鼻ポリープの最も典型的で、多くの方が最初に気づく症状は鼻づまりです。ポリープが物理的に鼻の空気の通り道を塞ぐために起こります。特に好酸球性副鼻腔炎の場合は、両側の鼻に多発することが多く、ほぼ完全に鼻が詰まってしまい、口呼吸を余儀なくされることもあります [2]。市販の点鼻薬を一時的に使っても改善しない、あるいはすぐに元に戻ってしまうような頑固な鼻づまりが続く場合は、耳鼻咽喉科の受診が必要です。
嗅覚障害
鼻づまりとともに多く見られるのが、匂いが分かりにくくなる嗅覚障害です。ポリープが嗅裂部を塞ぐことによる物理的な問題と、炎症による神経へのダメージが原因です [3]。特に好酸球性副鼻腔炎では、嗅覚障害が早期から強く現れる傾向があります [2]。匂いの異常を感じたら速やかに耳鼻咽喉科を受診してください。
鼻汁・後鼻漏
鼻ポリープの原因となる副鼻腔炎では、ほとんどの場合鼻汁や後鼻漏を伴います。好酸球性副鼻腔炎の場合は、白くネバネバとした、糊のような粘り気の強い鼻水が出ることが特徴です [2]。細菌感染を伴う慢性副鼻腔炎の場合は、黄色や緑色がかった膿のような鼻水が出ます [1]。これらの鼻水が鼻から出てくるだけでなく、喉の方へ流れ落ちる後鼻漏という症状も多く見られます。

