略奪が生んだ「近代美術館」
ルーブル美術館, Public domain, via Wikimedia Commons.
ナポレオンによる行為は、現代の価値観から見れば明白な「文化破壊」であり「略奪」です。しかし、皮肉にもこの大規模な移動が、近代的な美術館のあり方に多大な影響を与えました。
略奪した価値の高い作品を保存するため、フランスでは高度な修復技術が発展。さらに膨大な作品が一堂に会したことで、それらを年代順や地域別に分類・展示するという、現代の美術館の基礎となる「美術史学」が確立されたことも、また事実です。
ナポレオンが自身の功績を広く知らしめるために美術品を国民に公開したことは、近代的な美術館の仕組みの先駆けの一つでもあります。それまでは、高貴な作品は王侯貴族や教会の所有物として限定的に公開されることが一般的でした。
まとめ
ナポレオンの略奪は、イタリアにとって大きな衝撃であり、トラウマ的な出来事でした。現在でも、ルーブル美術館のメインスペース「グランド・ギャラリー」には、ナポレオンによって持ち去られたイタリアの名作が50点以上展示されています。
しかし、長い歴史を振り返ってみると、イタリアのケースは幸運だった方かもしれません。頻繁に議論されているように、ギリシャやエジプトなど、国家の最重要な作品すらも持ち去られ、いまだに返還されていない例はいくらでもあります。
美術館を訪れる際は「この作品はなぜここにあるのだろう?」と考えてみると、少し違った見方ができるかもしれませんね。以上、ルーブル美術館にイタリア作品が多い理由についてでした。
