胃がん検診のバリウム検査を受ける前に!メディカルドック監修医が検査方法や受診の頻度、前日の食事・服装、下剤の重要性等を解説します。

監修医師:
杉本 大(医師)
日本内科学会認定医・専門医、消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医、プライマリーケア学会認定医
胃がん検診のバリウム検査とは?
バリウムによる胃がん検診は1960年代に広く普及し、職場や自治体単位での集団検診で広く用いられるようになりました。当時の研究で「胃透視による検診で胃がん死亡率が減少した」と報告されており、胃がん検診=バリウム検査という認識が広がりました。この記事では胃がん検診のバリウム検査について、細かく解説していきます。
胃がん検診は何をする?(バリウム・胃カメラ)
胃がん検診の目的は「胃がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させる」ことです。現在用いられている方法は、バリウム検査(胃X線検査)と胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)の2つの方法で行われています。
胃がん検診の対象年齢と受診頻度は?
胃がん検診の対象者は、厚生労働省の指針(2024年改正)より、50歳以上のすべての人にバリウム検査か胃カメラのどちらかを受けるように定められています。バリウム検査(胃部X線検査)に関しては、当分の間40歳以上の者を対象として行ってもよいとされています。何年おきに胃がん検診を行うかについては、バリウム検査は1年おき、胃カメラは2年おきに行うように推奨されています。
バリウム検査の仕組みと目的は?
バリウム検査(胃X線検査)は飲んだバリウムを胃の中に薄く広げて、さらに胃の中を空気で膨らませることで、胃の形や表面の凹凸をレントゲンで撮影するものです。バリウムはX線を吸収するため、撮影すると白くうつります。一方X線が通過する空気や胃の壁は黒くうつります。この濃淡を利用して、胃の形や胃の表面粘膜の状態がより鮮明になるように工夫したやり方で行われているのです(2重造影法)。胃の粘膜が大きく隆起していたり、くぼみがあったりなど形が異なる変化があると、胃がんを含めた病気の可能性があると判定します。一方でバリウム検査だけでは、胃がんを確定診断することはできません。胃粘膜の異常を広くスクリーニングし、内視鏡検査が必要な人を適切に選別する役割を担います。
バリウム検査前日の準備と当日の服装・やり方
バリウム検査を予定したものの、前日から何か注意しておくことがあるのか、当日の服装や検査の進め方など細かなところがわからない方も多いと思います。前日の食事や水分の注意点、当日の服装、検査中の注意点などを解説していきます。
バリウム検査前日の食事と当日の水分補給
前日の食事は指定された時間まで(通常21時頃まで)に済ませるようにして、消化に負担のかかる食べ物(揚げ物、炒め物、ラーメンなど)や食物繊維の多い野菜や海藻、キノコ類も控えるようにしましょう。これらは胃の中に残りやすい食べ物で、バリウムがきれいに胃の表面をうつし出すことができなくなる恐れがあるためです。当日の朝は食事をせず、水分のみにします。
水分に関しては、水やお茶などであれば前日の就寝前までは自由に飲んでいいとされています。脱水症状を防ぐためにも適度な水分補給は必要です。当日も検査前の指定された時間までは水・お茶であれば少量ずつ飲んでもいいとされています。
バリウム検査に適した服装はある?
バリウム検査を受けるときの服装はX線撮影の妨げにならないよう、金属(ブラジャーのワイヤーやアクセサリー)などがないようにします。多くの医療機関では検査着を提供していると思いますので、着脱しやすい服装と外しにくい金属類は身に着けないようにしていきましょう。
バリウム検査のやり方と「ゲップ」を我慢する理由
レントゲンを撮影する場所で、まず胃を膨らませるための発泡剤を少量の水で飲みます。発泡剤から空気が出て胃の中を膨らましていきます。レントゲンで撮影するとき、バリウム(白)と空気(黒)のコントラストをはっきりさせることで、より微細な粘膜の凹凸や早期がんを見つけることができるようになります(胃の二重造影法といいます)。空気が一つの造影剤となっているので、げっぷをしたくなりますが、ここを我慢するのがよい撮影条件となるうえで重要です。
その後バリウムを飲みます。白くて粘度が高い液体であり、のど越しも良くなく、味もあえておいしくないようにしてあります。美味しくしてしまうと胃の動きが活発になり撮影するのが難しくなる可能性があるためです。
すべてバリウムを飲んだら、検査台が動き、指示に従って体勢を変えて撮影していきます。姿勢を変えることで、胃の中のバリウムが移動していきます。その様子を見ながら撮影を繰り返していきます。時にはおなかを強く押して、撮影することもあります。おおよそ15分ぐらいの撮影で終了します。
飲んだバリウムはそのまま大腸まで流れ、便とともに排出されます。便秘気味の人だとバリウムがうまく排出されず、大腸の中で固まってしまう恐れがあります。たくさん大腸に残ってしまうと腸閉塞の原因になることもあるため、検査後に下剤を内服してなるべくバリウムをスムーズに排出するように促します。

