肝門部胆管がんの検査法
血液検査
肝門部胆管がんとなった場合、がんが胆管を詰めてしまうことによって肝臓や胆道の値が上がることがあります。また、胆管がんと関係する腫瘍マーカー(CEA、CA19-9など)もあり、現状の評価も含め血液検査を行い状態を把握していきます。
腹部超音波検査(腹部エコー検査)
腹部超音波検査ではお腹の上から機械を当てて、超音波で感知した臓器を画像化し、リアルタイムで観察する検査です。この検査は身体の負担があまりなく受けることができるので、健診等でも行うことがあります。この検査によってがんがどの位置にいるか、がんによって詰まった胆管の末梢が開いていないか等を調べていきます。ただし、この超音波検査は空気に弱いため、胆管の前に腸管や胃があった場合は詳細に観察することができないこともあります。とはいえ、腹部超音波検査は身体への負担がほぼない検査のため、はじめにこの腹部超音波検査を行うことも多いでしょう。
腹部CT検査
腹部CT検査は放射線を使用し身体の中にある臓器や骨などを映し出し、画像化する検査です。筒状の機械を通り、放射線で輪切りの画像を作成し、それをコンピュータで再構築し、複数の角度からの画像を作り出したりします。CT検査自体は15分程度で終わる検査ですが、放射線を使用して行うため少ないとはいえ被ばくしてしまうというデメリットもあります。
また、肝門部胆管がんの人のCT検査では造影剤を使用した「造影CT検査」を行うことが多いでしょう。点滴から造影剤を投与してCT撮像を行うことにより、血流のある部分等を鮮明に映し出すことができます。この腹部造影CTでは胆管のどのあたりまでがんが広がっているか、周囲の血管などを巻き込んでいないか、転移があるか、どの胆管が詰まっているか、感染があればどの胆管に感染していそうかなどを評価することができます。
ただし、この造影剤は腎臓の負担となるため、腎機能が悪い人には使用することができません。また、造影剤はアレルギーを起こしやすいと言われており、喘息がある人やアレルギーがある人には使用することができません。その他、甲状腺の病気がある人には使用できない場合がある、ある種の糖尿病の薬を飲んでいる人は薬を数日辞める必要があるなど様々な制限がかかってくることもあります。この腹部CT検査は内科での精査・診断時の他、外科での手術前にも行うことがあります。
MRI検査(MRCP)
MRCPとは、MRIの検査装置を使用して磁力を使い胆管、胆嚢、膵管などを映し出す検査です。この検査では肝臓等へのがんの転移がないか、周囲脈管に及んでいないかなどの評価を行ったり、実際の胆管の走行を確認したりすることができます。CT検査とは異なり放射線を使用しないため被ばくのリスクはありません。しかしながら強力な磁力を使用しているため、体内に金属類・ペースメーカー等が入っている人、刺青の人や閉所恐怖症の人は検査を受けることができません。
超音波内視鏡検査(EUS)
他の画像検査で異常が見つかった場合、消化器内科で超音波内視鏡(EUS)検査を行います。この検査では、まずエコーの機械がついている特殊なスコープを胃や十二指腸まで挿入します。その超音波の機械を胃や腸の粘膜に直接当てることで、その真裏にある胆管、胆嚢、膵臓を観察することができます。腹部超音波検査等では見たい場所が機械(プローブ)から遠かったり、胃や腸が被ってきてその中の空気が邪魔をすることにより詳細観察が困難となることもありますが、この検査では超音波の機械を消化管の壁に直接当てて近くで観察する形になるため、詳細な観察が可能となります。この検査は消化器内科で行う検査であり、観察のみであれば外来での検査になります。時間はおおよそ30分程度となります。
内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)
ここまでの検査で肝門部胆管がんが疑われた場合、ERCPを行います。これは側視鏡という特殊なスコープを口から入れ、十二指腸にある胆管の出口からカテーテルを入れて胆管内に造影剤を流すことで胆管の形を見たり、組織を採取して顕微鏡の検査(病理検査)に提出し確定診断を行う等の処置を行います。胆汁を採取したりがんが疑われる部分をブラシのようなものでこすったりすることで細胞を採取し、顕微鏡で確認する(細胞診)を行うこともあります。
また、肝門部胆管がんでは胆管が塞がれ胆汁が溜まったり感染を起こすと述べましたが、この処置の際にボールペンの芯程度のプラスチック製のチューブ(ステント)を入れておくことにより溜まった胆汁や膿の流れ道を作る、ということも行います。このERCPではカテーテルから胆管内に造影剤を入れることによる感染や穿孔、出血、また、膵臓と胆管の入り口をいじることによる膵炎発症のリスクもあります。
基本的に消化器内科で入院して行う検査になります。組織診断等のみであれば最短4〜5日間程度で退院可能ですが、何らかの偶発症を認めた場合はその分入院期間が長くなる可能性はあります。

肝門部胆管がんの治療法
手術
肝門部胆管がんの根治としては手術しかありません。ただし、全員が手術を受けられるというわけではありません。肝門部胆管がんではその周囲に大きな血管があります。それらの血管へがんがおよんでいない、遠隔転移がない等が1つ目の条件となります。また、肝門部胆管がんの場合は左右どちらかの胆管へがんがおよんでいることが多いでしょう。その場合、がんがある方の肝臓ごと手術で切除することになりますが、取った後である程度の肝臓の機能が残っていないと人は生きていくことができません。そのため、残ると予想される肝臓の機能(残肝予備能)がある程度なければ手術を行うことができません。
その他、がんが下の方(腸の近く)まで及んでいた場合、膵頭十二指腸切除も行わなければなりません。膵臓の1/3、十二指腸、胃の一部、肝臓の半分、胆管、胆嚢等を切除し、腸を繋ぎ変える大手術となることもあります。高齢や元々他の病気で状態が良くない人も手術に耐えられない可能性があり、この場合も手術を受けることができません。これらについては一般的に消化器内科で精密検査を行い、外科と協議の上で治療方針を検討していきます。治療の主体は外科・消化器外科となります。
化学療法
手術が困難となった場合、標準治療として行われるのは抗がん剤の治療となります。現在は一般的に2種類の抗がん剤を併用する治療を行います。また、これに免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を追加する治療も行われることがあります。状況によって3週連続で点滴、1週休みを繰り返し行う治療や、点滴を行いながら内服薬を飲む治療、内服薬での抗がん剤などを行いながら定期的に検査・診察を行っていきます。
抗がん剤には副作用があり、よく言われる脱毛等から身体のだるさ、便秘・下痢や手足のしびれなどの自覚症状、血液検査で分かる肝機能異常や腎機能障害、血球減少など様々です。特に細菌に対する血球が減少している場合、感染に対する抵抗力が弱くなり、感染リスクも高まります。また、免疫チェックポイント阻害薬の副作用では、間質性肺炎や血小板減少、腎機能障害、肝機能障害、高熱や高血圧・低血圧など様々な激烈な症状が急速に出てきます。副作用が多くの人がなるというわけではありませんが、投与開始となった場合はかなり慎重に診ていき、何かあればすぐに中止・症状に対応するということが重要です。
しかしながら化学療法では肝門部胆管がんを治すことはできません。腫瘍の進行を抑えて元気で過ごせる時間を長くすることが治療の目的となってきます。いつか抗がん剤が効かない、副作用が強く中止せざるを得ないという時がきます。これらを踏まえてどこまで、どのような治療をしたいかということが最も重要となってくるのです。
放射線治療
肝門部胆管がんでは放射線治療を行うこともあります。しかしながらこれも根治を目指すものではなく、予後の延長、ステント開存性維持、減黄、疼痛緩和(対症的治療)を目的とします。場合によっては化学療法と組み合わせた化学放射線療法を行うこともあります。

