急性前骨髄球性白血病(APL)の治療
ここでは、急性前骨髄球性白血病(APL)の治療法を解説します。
寛解導入療法
急性前骨髄球性白血病(APL)の寛解導入療法は、全トランス型レチノイン酸(ATRA)と化学療法の併用が基本となります。この治療法は、APL細胞の分化を助けるとされており、白血病細胞の減少を目的としています。
治療には、イダルビシン(IDR)やシタラビン(Ara-C)などの抗がん剤が使用されます。
地固め療法
急性前骨髄球性白血病(APL)の地固め療法は、寛解導入療法後に残存する白血病細胞の根絶を目指し、再発を防ぐために行われる重要なステップです。
地固め療法では、アントラサイクリン系薬剤とシタラビン(Ara-C)を併用した治療が実施されます。寛解導入療法で達成した効果をさらに強化し、長期的な寛解状態の維持を図ります。
地固め療法の過程では、骨髄抑制が生じる可能性があるため、患者さんの免疫力が低下しやすくなります。これに対しては、G-CSF製剤を使用して白血球の回復を目指し、感染症リスクの低減につなげます。
また、地固め療法開始前には、少なくとも一度、シタラビン、メトトレキセート、プレドニンの髄注が行われ、髄膜浸潤の予防が図られます。
維持療法
急性前骨髄球性白血病(APL)の治療で行われる維持療法は、地固め療法後の再発を防ぐために行われる長期間の治療です。
維持療法では、全トランス型レチノイン酸(ATRA)または合成レチノイン酸であるタミバロテンを使用します。これらの薬剤は、約3ヵ月ごとに2週間の投薬を行い、これを約2年間継続します。
再発の治療
急性前骨髄球性白血病(APL)の再発治療は、主に亜ヒ酸(ATO)を中心とした再寛解導入療法が推奨されます。再寛解後、骨髄PML-RARA陰性が確認された場合には、自家末梢血幹細胞移植が行われ、若年者やPML-RARA陽性例では同種移植も検討されます。
移植が適さない場合には、ゲムツズマブオゾガマイシン(GO)の投与も考慮されますが、骨髄抑制や肝中心静脈閉塞症(VOD)などのリスクが伴うとされており、移植予定例では慎重な対応が必要です。
また、ATRAと化学療法後に再発した場合には、タミバロテンが治療の選択肢となります。
さらに、再発APLの一部では中枢神経系(CNS)浸潤の可能性があり、この場合にはメトトレキサート(MTX)やシタラビン(AraC)などによる髄注療法が必要となります。
急性前骨髄球性白血病(APL)の再発率と予後
急性前骨髄球性白血病(APL)の治療は進歩しており、レチノイン酸を中心とした分子標的療法により、約95%近くの患者さんが寛解(CR)に達し、そのうち約80%以上が治癒を期待できます。
しかし、APLの再発率は依然として存在し、約26.5%の患者さんが再発を経験するとされています。再発は寛解後の数年間に発生する場合が多く、その後も再発のリスクが続きます。
再発の予後には治療前の白血球数が影響し、治療前の白血球数が10,000/μLを超えるような高いリスクを持つ患者さんでは、予後が不良となる傾向があります。
また、年齢も重要な予後因子であり、高齢者では治療による合併症のリスクが増加するとされ、寛解率が低下する可能性が高くなります。

