「うつ病」は”血液検査”で分かるのかご存じですか?似た症状の病気も医師が解説!

「うつ病」は”血液検査”で分かるのかご存じですか?似た症状の病気も医師が解説!

心療内科や精神科で血液検査を行う理由とは?メディカルドック監修医がうつと血液検査の関係、身体疾患を除外する目的、健康診断でうつ病がわかるのかを分かりやすく解説。

伊藤 規絵

監修医師:
伊藤 規絵(医師)

旭川医科大学医学部卒業。その後、札幌医科大学附属病院、市立室蘭総合病院、市立釧路総合病院、市立芦別病院などで研鑽を積む。2007年札幌医科大学大学院医学研究科卒業。現在は札幌西円山病院神経内科総合医療センターに勤務。2023年Medica出版社から「ねころんで読める歩行障害」を上梓。2024年4月から、FMラジオ番組で「ドクター伊藤の健康百彩」のパーソナリティーを務める。またYou tube番組でも脳神経内科や医療・介護に関してわかりやすい発信を行っている。診療科目は神経内科(脳神経内科)、老年内科、皮膚科、一般内科。医学博士。日本神経学会認定専門医・指導医、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本老年医学会専門医・指導医・評議員、国際頭痛学会(Headache master)、A型ボツリヌス毒素製剤ユーザ、北海道難病指定医、身体障害者福祉法指定医。

精神科・心療内科の血液検査は何のために行う?

精神科や心療内科で行う血液検査は、うつ病そのものを診断するためではなく、身体の病気が関係していないかを確認するために行います。

うつ病は血液検査で診断できるのか

現在の医療では、脳内にあるセロトニンなどは一般的な採血では直接測定はできません。よって、うつ病を血液検査だけで直接確定診断はできませんが、一部でPEA(リン酸エタノールアミン)などの血液中のバイオマーカー研究が進められています。うつ病の診断は、日本うつ病学会も採用するDSM-5などの診断基準に基づき、症状や経過、生活機能への影響を問診や観察で総合的に評価して行われます。

血液検査でうつ病と似た症状の身体疾患が除外できる

血液検査は、うつ病とよく似た症状を示す甲状腺機能低下症や貧血、栄養障害などを確認し、精神症状の背景にある身体疾患を除外・早期発見ができます。

血液検査で適切な処方薬の量や薬の副作用が確認できる

血液検査では、リチウムなど一部の向精神薬の血中濃度を確認し、効き目が弱すぎないか・強すぎないかの判断で適切な用量調整ができます。また、肝機能や腎機能などの同時チェックで、薬による副作用や臓器への負担が生じていないかを評価し、安全性を高めた治療を続けることができます。

メンタルクリニックの血液検査で調べる主な項目とは?

うつ病など心の不調の背景に身体の病気や薬の副作用が隠れていないかを確認するため、いくつかの項目を総合的に調べます。

貧血や栄養状態の確認

赤血球やヘモグロビン(血色素量)、フェリチンなどを測定し、鉄欠乏性貧血の有無や隠れ貧血を確認するとともに、ビタミン(例えばビタミンDなど)・ミネラル(例えば亜鉛)などの栄養状態を評価して、疲労感や気分の落ち込みの背景に栄養不足がないかを確認します。

甲状腺ホルモンのチェック

TSH(甲状腺刺激ホルモン)やFT4(遊離サイロキシン)などの甲状腺ホルモンを測定し、甲状腺機能低下症や亢進症が隠れていないかを確認します。これらの異常は、気分の落ち込みや意欲低下、不安感など、うつ病とよく似た精神症状を起こすため、甲状腺の状態をチェックしておくことが大切です。

肝機能・腎機能の確認

AST(GOT)やALT(GPT)、γ-GTPなどで肝機能を、BUNやクレアチニンで腎機能を確認します。これによって、もともとの臓器障害の有無や、向精神薬による影響が出ていないかをチェックします。これらの結果は、薬の用量調整や処方変更の判断材料となり、安全性の高い治療を続けるうえで重要な指標です。

配信元: Medical DOC

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