危険なのは「ズキズキ脈打つ頭痛」「突然バットで殴られたような頭痛」どっち?メディカルドック監修医がそれぞれの頭痛で考えられる病気も解説します。

監修医師:
村上 友太(医師)
医師、医学博士。
福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長、東京予防クリニック院長を歴任。現在は神宮前統合医療クリニックなどで脳機能向上、認知症予防を中心に診療している。
【資格・所属】
日本脳神経外科学会専門医
日本脳卒中学会専門医
日本抗加齢医学会専門医
日本健康経営専門医
「ズキズキ脈打つ頭痛」がする原因

「ズキズキ」と心臓の拍動に合わせるように痛む頭痛は、拍動性頭痛と呼ばれます。拍動性の痛みは片頭痛でよくみられますが、すべてが片頭痛とは限りません。
かつて片頭痛は「血管が広がることで起こる」と説明されることが多くありました。しかし現在では、血管だけでなく、三叉神経、CGRPという神経ペプチド、脳の過敏性などが複雑に関わると考えられています。
三叉神経への刺激
片頭痛の発症には、三叉神経血管系と呼ばれる仕組みが関係しています。三叉神経は、顔や頭の感覚に関わる神経です。
何らかの刺激で三叉神経が活性化すると、CGRPなどの神経ペプチドが放出され、痛みや炎症反応に関わると考えられています。近年は、このCGRPを標的にした片頭痛治療薬も使われるようになっています。
つまり、片頭痛は単なる「血管の拡張」ではなく、神経の過敏性や痛みの伝達が関わる病気です。
セロトニンの変動
セロトニンは、片頭痛の発症や治療に関係する神経伝達物質の一つです。以前は、セロトニンの変動によって血管が収縮・拡張し、片頭痛が起こると説明されていました。
現在では、片頭痛は血管の収縮や拡張だけでは説明できないと考えられています。ただし、セロトニン系はトリプタン製剤などの片頭痛治療薬の作用にも関係しており、片頭痛の病態理解において重要な要素の一つです。
女性ホルモンの分泌量の変化
女性では、月経周期に関連して片頭痛が悪化することがあります。特に月経前後にエストロゲンが変動することで、頭痛が起こりやすくなる人がいます。
毎月同じ時期に強い頭痛が出る場合は、月経関連片頭痛の可能性があります。生活に支障がある場合は治療対象になるため、頭痛ダイアリーをつけて医療機関で相談するとよいでしょう。
脳の過敏性
片頭痛を起こしやすい人では、光、音、におい、睡眠不足、ストレス、空腹、天候の変化などに脳が敏感に反応しやすいと考えられています。
強い日差し、騒音、人混み、香水のにおいなどがきっかけで頭痛が起こることがあります。また、平日の緊張から解放された週末に頭痛が出る、いわゆる週末頭痛がみられることもあります。
脳血管の炎症
血管そのものに炎症が起こる病気でも、頭痛が起こることがあります。代表的なのが巨細胞性動脈炎です。
巨細胞性動脈炎は、50歳以上で注意が必要な病気です。こめかみの痛み、頭皮の痛み、噛むとあごがだるくなる症状、視力低下などを伴うことがあります。特に視力の異常を伴う場合は、失明につながることもあるため、早急な診断と治療が必要です。
「突然バットで殴られたような頭痛」がする原因

突然バットで殴られたような頭痛は、医学的には雷鳴頭痛と呼ばれるタイプの頭痛に相当します。雷鳴頭痛は、突然始まり数秒から1分以内に痛みがピークに達する激しい頭痛です。
このような頭痛では、くも膜下出血、脳動脈解離、可逆性脳血管攣縮症候群など、命に関わる病気をまず除外する必要があります。
脳動脈瘤の破裂
最も警戒すべき原因の一つが、脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血です。脳動脈瘤とは、脳の血管の一部がこぶのように膨らんだものです。
これが破裂すると、脳を包む膜のすき間に血液が流れ込み、突然の激しい頭痛が起こります。「今まで経験したことがない頭痛」「一瞬でピークに達する頭痛」と表現されることが多く、吐き気、嘔吐、意識障害を伴うこともあります。
脳血管の急激なけいれん
可逆性脳血管攣縮症候群も、雷鳴頭痛の原因になります。これは、脳の血管が一時的に強く収縮する病気です。
入浴、排便、性行為、運動、強いストレス、血管収縮作用のある薬剤などがきっかけになることがあります。数日から数週間の間に、激しい頭痛を繰り返すことが特徴です。
初期の検査では異常がはっきりしないこともあるため、症状の経過を含めた判断が重要です。
脳血管が裂けること
脳や首の血管の壁が裂ける動脈解離でも、突然の頭痛や首の痛みが起こります。特に椎骨動脈解離では、後頭部から首にかけて強い痛みが出ることがあります。
最初は頭痛だけでも、その後にめまい、ふらつき、ろれつが回らない、手足のしびれや麻痺など、脳梗塞の症状が出ることがあります。首を急に動かしたあとに起こることもありますが、明らかなきっかけがない場合もあります。
極端な血圧の上昇
極端な血圧上昇によって、脳の血流調節がうまく働かなくなり、頭痛、意識障害、けいれん、視力障害などが起こることがあります。
強い頭痛に加えて、意識がぼんやりする、けいれんする、視界がかすむ、手足が動かしにくいなどの症状がある場合は、緊急性が高いと考えてください。

