重症筋無力症の免疫療法

免疫療法は、原因となる自己抗体の産生を抑えたり、血液中から取り除いたりする根本的な治療です。代表的な治療法は以下のとおりです。
ステロイド薬
免疫抑制薬
血液浄化療法
免疫グロブリン大量静注療法
分子標的薬
ステロイド薬は古くから使われている大変効果的な薬ですが、副作用のリスクを下げるため、早い段階からタクロリムスやシクロスポリンといったカルシニューリン阻害薬などの免疫抑制薬を併用し、ステロイド薬の量を少なく保つ工夫が行われます。
さらに、既存の治療で効果が不十分な難治性の方に対しては、補体の働きを強力に抑えるエクリズマブやラブリズマブやジルコプランといった補体阻害薬や、自己抗体そのものを減少させるエフガルチギモドやロザノリキシズマブといったFcRn阻害薬などの新しい分子標的治療薬が選択できるようになっています。これらの新薬の登場により、治療の選択肢は大きく広がりました。
重症筋無力症の手術

重症筋無力症は胸腺の異常と深く関わっており、胸部CTなどの画像検査結果に基づいて手術の必要性が決まります。
抗アセチルコリン受容体抗体を持つ患者さんの約75%には胸腺過形成や胸腺腫といった胸腺の異常が合併するとされています。そのうち、約20%の方には胸腺腫と呼ばれる腫瘍が合併しており、この場合は原則として胸腺をすべて摘出する拡大胸腺摘除術が第一選択となります。胸腺腫は早期に発見して切除できれば生命に対する予後が大変よい腫瘍とされています。
一方、胸腺腫がない場合でも手術が行われるときがあります。発症年齢が50歳以下であり、かつ血液検査でアセチルコリン受容体抗体が陽性を示す全身型の患者さんであれば、症状の改善を目指して手術が行われるときがあります。近年は身体への負担が少ない内視鏡を用いた手術も積極的に検討されます。ただし、65歳以上の高齢の方や思春期前の小児の方、あるいはMuSK抗体が陽性の方に対しては手術の有効性が十分に明らかではないため、無理に手術は行わず、薬物による内科的治療が優先されます。

