重症筋無力症の薬物治療による副作用

免疫療法で使用する薬は、過剰な免疫を抑える反面、正常な免疫の働きも低下させてしまうため、感染症にかかりやすくなるという共通の注意点があります。手洗いやうがいを徹底し、発熱時は速やかに医療機関を受診するなどの基本的な予防対策が欠かせません。薬の種類ごとの主な副作用は以下のとおりです。
ステロイド薬は、顔が丸くなるムーンフェイスや、骨がもろくなる骨粗鬆症、血糖値が上がる糖尿病、眼のレンズが濁る白内障などの副作用があります。また、治療の初期に一時的に症状が悪化するステロイド・イニシャル・ディップと呼ばれる現象にも注意が必要です。大量に長く服用すると骨折などのリスクが高まり、生活の質が大きく低下します。また、自己判断で急に服用をやめると、血圧低下や意識障害を伴う副腎不全に陥ったり、症状が急激に悪化してクリーゼを招く可能性があるため大変危険です。
免疫抑制薬は、腎臓や肝臓の機能障害、高血糖、手足の震えなどが起こるときがあります。アザチオプリンという薬を使用する前には、NUDT15という遺伝子検査を行い、重篤な脱毛や白血球減少などのリスクを事前に確認することが推奨されています。また、タクロリムスなどの免疫抑制薬を服用する際は、薬の分解を妨げて血中濃度を上げすぎるグレープフルーツの摂取を厳重に避ける必要があります。
新しい分子標的薬のうち、補体阻害薬は髄膜炎菌感染症という大変重篤な感染症のリスクが極めて高いため、投与開始の2週間前までにワクチン接種が必須となります。FcRn阻害薬は、尿路感染症や鼻咽頭炎や下痢などの副作用があり、体内の抗体全体を減らすため、生ワクチンの接種タイミングについて主治医への綿密な相談が必要です。
重症筋無力症|治療法が決まるまでの流れ

重症筋無力症は患者さん一人ひとりの症状や体質によって適切な治療が異なるため、詳細な検査を行ってからガイドラインに基づいた治療方針を決定します。
診断から治療法決定までの一般的な流れは以下のとおりです。
症状の確認
血液検査
生理学的検査
画像検査
これらの結果をもとに、病気を若年発症型や晩期発症型や胸腺腫関連型などの6つのサブタイプに分類し、症状の重さをMGFA分類という国際的な基準で評価します。この客観的な分類とガイドラインのアルゴリズムに基づき、患者さんの希望や生活背景も踏まえたうえで適した治療計画が立てられます。

