治療を続けながら生活するためのポイント

重症筋無力症は長期的な治療が必要となることが多いため、日常的な体調管理と生活環境の整備が大切です。具体的な工夫を確認しておきましょう。
定期的な通院と検査を継続する
調子がよいからといって自己判断で通院をやめたり、勝手に薬の量を減らしたりすると、大変危険な症状の悪化を招く可能性があります。継続的な医療機関との連携が、安定した日常を支えます。
症状や体調の変化を見逃さない
症状は1日のうちでも時間帯によって変動し、夕方にかけて悪化しやすい特徴があります。特に注意すべきは、嚥下障害と呼吸困難のサインです。
安全な環境を作る
筋力低下や疲れやすさに配慮し、転倒やケガを防ぐ環境づくりが大切です。
重症筋無力症の治療についてよくある質問
ここまで重症筋無力症の治療を紹介しました。ここでは「重症筋無力症の治療」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
重症筋無力症の治療は一生続きますか?
高宮 新之介 医師
多くの場合、治療は長期間にわたって継続する必要があります。症状が完全に消失し、薬が不要になる完全寛解に至る方は全体の20%程度とされています。しかし、決して悲観する必要はありません。現在の治療の目標は、完全寛解を無理に目指すことではなく、副作用の少ない少量の薬で、仕事や学業といった社会生活を発症前と変わらずに送れる状態を早期に達成し、それを維持することです。
重症筋無力症の手術は必ず必要ですか?
高宮 新之介 医師
すべての患者さんに手術が必要なわけではありません。手術の必要性は患者さんの年齢や病状によって異なります。検査で胸腺腫が見つかった場合は、腫瘍を取り除くために原則として手術が必要です。しかし、胸腺腫がない方の場合は、発症年齢が50歳以下で、なおかつアセチルコリン受容体抗体が陽性である場合に手術が検討されます。
編集部まとめ

重症筋無力症の治療は、過剰な免疫の働きを抑える免疫療法を中心とし、患者さん一人ひとりの状態に合わせて薬や手術を適切に組み合わせます。
近年は生活の質を落とさずに健やかな日常を目指すことが十分に可能となりました。
指定難病の医療費助成制度なども上手に活用し、不安なことや疑問があれば、いつでも主治医や専門の医師に相談するとよいでしょう。
重症筋無力症と関連する病気
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する病気
胸腺の異常(胸腺腫、胸腺過形成や肥大)
甲状腺疾患(バセドウ病、橋本病など)
関節リウマチそのほかの自己免疫疾患
重症筋無力症と関連する症状
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
筋力低下と易疲労性(疲れやすく、繰り返し動くと悪化し、休むと回復しやすい)
眼瞼下垂(まぶたが下がる)
複視(物が二重に見える)
話しにくい(構音障害)
飲み込みにくい(嚥下障害)
噛みにくい(咀嚼障害)
首や手足の筋力低下
夕方に悪化しやすい(日内変動)
日によって症状の強さが変わることがある
呼吸が苦しくなる(重症例)
参考文献
『重症筋無力症(指定難病11)』(難病情報センター)
『重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン2022』(日本神経学会)
『重症筋無力症(MG)について』(日本神経免疫学会)
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