日常生活で行える拘縮の予防法

拘縮予防には、こまめな関節の曲げ伸ばしやストレッチ、適切な体位変換やポジショニング、できる範囲での起き上がり・立位・歩行などの自発的な動きを続けることが大切です。
適度な運動
拘縮を予防するうえで、適度な運動を続けることはとても重要です。無理のない範囲で関節を動かし続けることで、筋肉や腱、関節包などの柔軟性が保たれ、関節の可動域低下を防ぎやすいです。例えば、椅子からの立ち上がりやその場での足踏み、膝や足首・肩・肘のゆっくりとした曲げ伸ばしなど、日常の動作のなかでこまめに身体を動かすことが効果的です。ベッド上で過ごす時間が長い場合も、可能な範囲で上肢・下肢の曲げ伸ばし運動や足首回しなどの軽い体操を取り入れることで、血流の改善や筋力低下の予防にもつながります。また、痛みが強い場合や持病がある場合は、主治医やリハビリ専門職に相談しながら、負担の少ない運動量やメニューを調整していくことで安全性が高まります。
参照:『なるほど、なっとく運動療法』(市川市医師会)
ストレッチ
ストレッチは、拘縮の予防・進行抑制にとても有効な方法です。関節を支える筋肉や腱、関節包をゆっくりと伸ばすことで、組織の柔軟性を保ち、関節の可動域が狭くなるのを防ぎやすいです。大切なのは、「痛気持ちいい」と感じる程度までを目安に、反動をつけずにじわっと伸ばすことです。1回あたり15〜30秒ほど伸ばした姿勢を保ち、呼吸を止めないようにしながら、同じ部位を数回繰り返すと効果的とされています。ベッド上でも、足首を手前に倒してふくらはぎを伸ばす、膝をゆっくり曲げ伸ばしする、指や手首を反らすなど、簡単なストレッチを取り入れやすいです。ただし、骨折直後や急な痛み・炎症がある場合はかえって悪化させる可能性があるため、医師やリハビリ専門職の指示のもとで、安全性の高い関節可動域と方法を確認しながら行います。
参照:『Kagayaki』(東北医科薬科大学病院)
拘縮が生じた場合のケア

痛みのない範囲での関節可動域訓練やストレッチ、適切なポジショニング、装具や福祉用具の活用、必要に応じた専門職(リハビリ科・整形外科など)への相談が重要です。
進行した拘縮への医療介入
進行した拘縮は、日常生活の工夫だけでの改善が難しく、医療による専門的な介入が重要です。基本となるのは、理学療法士や作業療法士による関節可動域訓練や姿勢調整で、必要に応じて温熱療法や超音波療法、電気刺激療法などの物理療法を組み合わせ、硬くなった筋や関節包・靱帯を少しずつ動かしやすくしていきます。脳卒中後の痙縮が強い場合には、内服の筋弛緩薬やボツリヌス毒素注射、バクロフェン髄注療法などが検討され、過剰な筋緊張を和らげてからリハビリを行うことで、拘縮の悪化を防ぎます。それでも重度の拘縮で関節がほとんど動かない場合には、腱延長術や関節授動術、関節包の解離・破断、デュピュイトラン拘縮に対する手術など、整形外科や形成外科による外科的治療が選択されることがあります。
参照:『整形外科手術』(脳性麻痺ガイドライン)
拘縮部位のケア
痛みを増やさず、できるだけ楽な姿勢で、少しでも動きを保つことの意識が大切です。まず、枕やクッションを使って関節がねじれたり極端に曲がったりしないように支え、リラックスできる姿勢(ポジショニング)を整えます。そのうえで、痛みのない範囲でゆっくりと関節を曲げ伸ばししたり、手足の指を開いたり閉じたりする関節可動域訓練を、清拭や着替えのタイミングに合わせてこまめに行います。皮膚が弱くなりやすい部位は、石けんのすすぎ残しや蒸れを避け、摩擦をかけないように洗浄・保湿するなどスキンケアも重要です。また、足浴・手浴やホットタオルなどで拘縮部位を温めてからストレッチやマッサージを行うと、血流がよくなり筋肉や腱が伸びやすいです。無理に一度で大きく動かそうとせず、毎日少しずつの継続が、拘縮の悪化を防ぐうえで有効です。
参照:
『負担が少なく無理のない拘縮(こうしゅく)ケアのポイント | 介護の便利帖』(あずみ苑)
『高齢者福祉施設におけるポジショニング』(静岡県立大学短期大学部)
痛みへの対処法
痛みを増やさない工夫と痛みを和らげて動かしやすくする工夫を組み合わせることが大切です。関節可動域訓練やストレッチは、強い痛みが出る手前の範囲でゆっくり行い、「ズキッ」とするような無理な力はかえって筋の防御性収縮や痛みの悪化を招くため避けます。温タオルや足浴・手浴などの温熱で拘縮部位を温めると血流がよくなり、筋肉や腱が伸びやすくなるため、その後のストレッチや運動が行いやすいです。また、痛みで体重をかけにくい関節には、杖や歩行器、手すりなどの福祉用具を活用して負担を分散させることも有効です。それでも日常生活に支障が出るほどの痛みが続く場合は、医師に相談し、消炎鎮痛薬(内服薬・外用薬)や関節内注射などの薬物療法とリハビリを併用しながら、痛みをコントロールしていくことが望ましいです。

