アルドステロン症の治療法

原発性アルドステロン症に通常の高血圧の薬で加療を行っても脳卒中や心不全の罹患リスクの高さは改善しないことが分かっているため、①原発性アルドステロン症の治療薬で治療するか、②手術ができる場合は片側の副腎を切除する、といった対応が必要です。
手術療法
治療法には手術と薬物療法がありますが、合併する病気のない若い患者さんで、片側の副腎のみからアルドステロンが過剰に分泌されていることが確認されれば費用対効果などを考えて一般的には手術が推奨されます。
手術は、一般的にはお腹に数か所の孔をあけて空気で膨らませ、器具とカメラを各部位から差し込んで内視鏡下に片方の副腎を摘出します。術後麻酔が切れると多少の痛みはありますが、内視鏡手術は通常では開腹手術より身体へのダメージが少なく、より早期の回復が見込める方法です。
高血圧の原因がたばこや塩分過剰、肥満、加齢などその他の原因によるところが多い場合、片方の副腎を摘出しても高血圧は治らない可能性があります。手術を選択すると、60~70%の患者さんで術後に血圧の薬は不要になりますが、約30%の患者さんでは手術後も血圧が正常に戻らずに薬を内服し続けなくてはならないことが知られています。
内服療法
内服薬を選択された場合や、両側の副腎からアルドステロンが分泌されていることが確認された場合には、抗アルドステロン薬による内服加療を行います。内服治療には2026年現在約3種類の抗アルドステロン薬があり、患者さんの腎機能や副作用の出現に応じてそれぞれの薬を使い分けます。
原発性アルドステロン症の薬は、基本的に生涯を通しての内服が必要です。
なお、3剤とも、血圧を下げる作用はそれほど強くないので、他の降圧剤を併用しなければならない場合があります。
「アルドステロン」についてよくある質問

ここまでアルドステロンについて紹介しました。ここでは「アルドステロン」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
アルドステロンは何に作用するのでしょうか?
上田 莉子(医師)
アルドステロンというホルモンは、腎臓に作用してカリウムやナトリウムといった電解質を調整します。そしてアルドステロンが過剰になると、最終的に血圧が上昇します。
アルドステロン値が高いとどんな症状が現れますか?
上田 莉子(医師)
原発性アルドステロン症であっても、通常は高血圧症以外の症状はほとんど認めません。
カリウムが下がりすぎると理論上は力の入りにくさ、足のつりなどが出るのですが、そういった症状で受診される方は経験上非常に稀です。
まとめ数年先を見据えたアルドステロン症の治療を
これまで、アルドステロンの作用、アルドステロン症の症状について解説しました。
原発性アルドステロン症において最も重要なのは治療選択です。
原発性アルドステロン症では、普通の高血圧と比較して血圧が下がりにくいだけでなく、脳卒中や虚血性心疾患のリスクも高いことが分かっています。
アルドステロン自体が耳慣れないホルモンかもしれませんが、もし原発性アルドステロン症であれば脳卒中、心血管疾患を含めたリスクの上昇が通常の高血圧よりも高くなります。
発見されたときはほぼ無症状でも、数年後脳梗塞を発症してしまい、「あのときしっかり治療しておけばよかった」と後悔する日が来るかもしれません。
症状のない今のうちから、しっかりと検査と治療を行い、数年後の合併症を抑えましょう。
「アルドステロン」と関連する病気
「アルドステロン」と関連する病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
循環器系
高血圧症
心肥大
心房細動
冠動脈疾患
心不全脳卒中副腎腫瘤
Cushing症候群
Cushing病
サブクリニカルクッシング病
褐色細胞腫若年・低カリウム血症合併など、特徴のある高血圧症であれば原発性アルドステロン症の精査をしておくのが良い場合があります。医師の判断に従い、精査や治療を進めるようにしましょう。
「アルドステロン」と関連する症状
「アルドステロン」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
高血圧症
脱力
筋力低下
多尿
夜間尿
アルドステロン症の症状は一般的には出ないことが多いです。特徴のある高血圧である場合、治療抵抗性の場合は原発性アルドステロン症のスクリーニング検査を行った方がいい場合もあります。医師の判断に従い、精査と治療をすすめてください。
参考文献
原発性アルドステロン症|日本内分泌学会
原発性アルドステロン症診療ガイドライン2021|日本内分泌学会
- 「血圧を下げる5つの飲み物」はご存じですか?医師がケース別の選び方や注意点も解説!
──────────── - ”急に靴がきつくなる”は「特発性拡張型心筋症」?生存率やなりやすい人も医師が解説!
──────────── - 長引く「だるさ」「高血圧」に潜む『副腎』の病気とは? どんな症状に注意!?【医師解説】
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