抗血小板薬を服用する際の副作用や注意点
抗血小板薬は、血栓を予防する作用がある一方で、出血のリスクがあります。また、胃腸障害にも注意が必要です。
出血しやすくなる副作用に注意
血栓ができにくくなるということは、血が止まりにくくなるということです。そのため、脳出血、消化管出血、鼻血(鼻出血)、血尿、あざ(皮下出血)などの出血性合併症が起こることがあります。とくに脳出血は重症となることがあるため、転倒などで頭部を強くぶつけた後に、頭痛、めまい、吐き気などの症状があれば速やかに医療機関を受診しましょう。
胃粘膜への影響があるため胃薬を併用する
抗血小板薬の一種であるアスピリンは、血小板内にあるCOX-1(シクロオキシゲナーゼ-1)を阻害することで、血小板が集まるのを抑制します。一方で、COX-1は胃粘膜にも存在しているため、アスピリンが胃粘膜のCOX-1を阻害すると、胃粘膜を守る物質であるプロスタグランジンの産生も低下し、胃粘膜障害が起こることがあります。以下の方では、胃薬の併用が推奨されます。
①消化性潰瘍や消化管出血の既往がある方
②抗血小板薬を2剤併用している方
③抗凝固薬を併用している方
④ステロイドを使用している方
⑤高齢の方
⑥NSAIDs(解熱鎮痛薬)を使用している方
抗血小板薬を服用している時に手術や抜歯を受ける際のポイント
抗血小板薬を一時的に中止できるかどうかは、その薬を使っている理由によって異なります。冠動脈ステントが留置されている方では、抗血小板薬を中止すると血栓症のリスクが高まるとされています。そのため、出血の危険性が血栓症の危険性を上回る場合にのみ、抗血小板薬の中止を検討します。出血リスクが低い、または中程度の手術で、抗血小板薬がアスピリン単剤の場合には、継続したまま行います。2剤併用している場合には、1剤に減らすことが多く、そのときにはP2Y12受容体拮抗薬を中止します。また、出血リスクが高い手術では、アスピリンを継続できるかどうかを考慮しながら、P2Y12受容体拮抗薬の中止も含めて検討します。通常の抜歯については、局所止血を十分に行えば、2剤併用下でも可能です。ただし、薬の種類によって休薬期間が異なるため、必ず主治医や検査・処置を行う医療機関に確認してください。
「血栓リスク」で気をつけたい病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「血栓リスク」に関する症状が特徴の病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
脳梗塞
脳梗塞は脳の血管が詰まる病気です。症状としては、意識障害、顔面や手足の麻痺、しびれ、ろれつが回らない、めまいなどがあります。血管の動脈硬化によって起こるものや、心房細動などでできた血栓が脳に飛んで起こるもの(心原性脳塞栓症)があります。意識障害、顔面や手足の麻痺、ろれつが回らない、突然のめまいで歩行が困難といった場合には、緊急治療が必要となることがあります。救急車の要請をし、神経内科や脳神経外科のある専門病院を救急受診することが必要です。急性期の治療としては血栓回収療法や、血栓溶解療法があります。再発予防として、アテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞では抗血小板薬を、心原性脳塞栓症では抗凝固薬を使用します。
狭心症
心臓を栄養している動脈(冠動脈)が狭くなり、心臓に十分な酸素や栄養が届かないことで、胸痛や胸部圧迫感を引き起こす病気です。坂道を上るなどの運動時に、数分程度の胸痛や胸部圧迫感があり、休むと改善するといった症状が典型的です。放散痛(関連痛)として、歯、顎、首、左肩、左腕、みぞおちの痛みなどとして症状が出ることもあります。胸部症状を繰り返すようであれば、循環器内科を受診しましょう。とくに休んでいても改善が乏しい場合や、15分以上症状が続くようであれば、速やかに医療機関を受診する必要があります。治療としては、薬物療法やカテーテル治療などが行われます。
心筋梗塞
心臓を栄養している動脈(冠動脈)が突然詰まってしまう病気です。動脈硬化を起こしやすくする高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病に加え、喫煙や家族歴なども危険因子として挙げられます。心筋梗塞の症状としては突然の胸痛や胸の締めつけ感(絞扼感)が15分以上続くことが典型的です。今までにない突然の胸痛があり、安静にしても持続する場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。循環器内科で、カテーテル検査・治療などの専門的な治療が必要になります。薬物治療としては、抗血小板薬(血液をサラサラにする薬)、コレステロールを下げる薬などが用いられます。

