知っておきたい公的制度:費用負担を軽くする方法
腰痛の治療が長引く場合や、検査・手術が必要になった場合には、公的制度を活用することで自己負担を軽減できます。
■ 高額療養費制度
1ヶ月の医療費が一定の上限額を超えた場合、超過分を後から払い戻してもらえる制度です。腰痛の外来通院のみであれば上限を超えるケースは少ないですが、入院・手術が必要になった場合に大きく効果を発揮します。たとえば、腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアで手術・入院をした場合、医療費が数十万円規模になることがあります。年収によって医療費負担の上限が変わりますが、年収が約370〜770万円の方であれば、ひと月の自己負担上限は約80,100円です(医療費が267,000円を超えた場合は減額計算あり)。申請は加入している健康保険の窓口に問い合わせてください。
■ 医療費控除
1年間に支払った医療費が10万円(または総所得の5%)を超えた場合、確定申告によって所得税・住民税が軽減される制度です。整形外科の通院費・処方薬代・病院までの交通費(公共交通機関)も対象になります。腰痛が長引いて年間の医療費が膨らんだ場合は、領収書を保管しておき、翌年の確定申告で申請しましょう。同居している家族全員の医療費を合算できるため、世帯全体での活用が効果的です。
■ 労災保険
腰痛が仕事上の原因によるものと認められる場合、労災保険が適用される可能性があります。労災適用の場合、治療費は全額を労災保険が負担し、自己負担は原則ゼロになります。また、休業補償給付として給与の約80%が支給される制度もあります。「仕事が原因かもしれない」と思ったら、医療機関を受診し相談してみてください。
こんな腰痛は放置しないで:受診が必要なサイン
腰痛の多くは数日〜数週間で改善しますが、以下のような症状が伴う場合は、深刻な疾患が隠れている可能性があります。受診を先延ばしにすることで、治療が遅れるリスクがあるため、速やかに整形外科または内科を受診してください。
症状・サイン考えられる原因受診の目安
足のしびれ・力が入らない椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症なるべく早く(数日以内)
安静にしても夜に痛みが増すがん転移・感染性脊椎炎など早急に受診(当日〜翌日)
尿・便が出にくい・失禁する馬尾症候群(重篤な神経障害)今すぐ救急受診
発熱・体重減少を伴う腰痛感染・炎症性疾患・悪性疾患早急に受診(当日〜翌日)
3ヶ月以上続く慢性的な腰痛慢性腰痛・変性疾患・心理的要因一度整形外科で画像検査を
※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。
「大したことはないだろう」と考えて受診を先延ばしにするほど、治療が長引いたり、手術が必要になるリスクが高まります。特に、足のしびれや排泄(はいせつ)障害を伴う腰痛は、神経への圧迫が進行しているサインである可能性があり、早期の対処が回復の可否を左右します。初診費用として2,000〜4,000円程度の出費をためらったために、後から数十万円規模の手術・入院費が発生するケースは珍しくありません。
保険適用外となる整体・カイロプラクティックの費用目安は以下のとおりです。
整体1回5,000〜8,000円程度が全国的な相場。東京都内ではさらに高くなる場合もあります
カイロプラクティック初回5,000〜10,000円程度、2回目以降3,000〜7,000円程度
いずれも週1回ペースで通院した場合、月15,000〜30,000円程度になることを念頭に置いておくとよいでしょう。なお、接骨院・整骨院で健康保険が使えるのは「打撲・捻挫・挫傷などの急性のケガ」が原則です。慢性腰痛への保険適用は認められないケースも多く、その場合は自費診療となり1回1,500〜3,000円程度が目安となります。通院前に料金体系を確認することをおすすめします。

