白内障は、加齢とともに進行し、すぐに手術を行わず点眼薬や定期検査で経過をみるケースが多い病気です。その一方で、通院や薬にどの程度の費用がかかるのかを具体的に把握できていない方も少なくありません。費用の見通しが立たないままでは、継続的な通院に不安を感じる要因となります。しかし、あらかじめ費用の目安や制度を理解しておくことで、安心して治療を続けることが可能になります。そこで今回は、白内障の経過観察にかかる点眼薬や定期検査の費用目安と、公的制度の活用方法についてわかりやすく解説します。

監修医師:
柳 靖雄(医師)
東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。
白内障と診断されたら——経過観察期間の通院とは
白内障は、目の中にある水晶体(すいしょうたい)というレンズが白く濁り、視力が低下する病気です。加齢が主な原因で、70代では水晶体の混濁を認める方が約9割にのぼると言われています(手術が必要になる割合はこれより低くなります)。主な症状はものがかすんで見える、光がまぶしく感じる、徐々に視力が落ちてきたといったものです。
白内障と診断されても、すぐに手術になるわけではありません。視力の低下が軽度で日常生活に大きな支障がない場合は、「経過観察」といって定期的に眼科を受診しながら進行具合を確認していく期間が続きます。この期間は患者さんによって異なりますが、症状が安定していれば3ヶ月に1回程度の受診が目安になることが多いです。
経過観察期間中は、主に視力・眼圧・眼底の定期検査と、進行を遅らせることを目的とした点眼薬の処方が中心となります。費用は手術と比べてそれほど高くありませんが、長期にわたることが多いため、月々の費用感を把握しておくことが大切です。
定期受診にかかる費用の目安
眼科での定期受診にかかる費用は、受診する医療機関やその日に行う検査の内容によって変わります。以下は健康保険の負担割合別の費用目安です(各項目の点数は令和6年度改定の代表例に基づく患者負担額の概算)。負担割合は年齢・所得によって異なり、75歳以上の後期高齢者医療制度(一般所得者)は1割、70〜74歳は原則2割、70歳未満は3割が基本です(いずれも現役並み所得者は3割)。
経過観察では視力・眼圧などの検査を行うことが多く、その日は外来管理加算(52点)は原則算定されません。表の「再診料」は検査を伴う再診時の目安です。
受診・検査の内容費用の目安(3割負担)費用の目安(1割負担)
再診料(75点)約230円約75円
矯正視力検査(69点・算定時)約210円約70円
屈折検査(69点・算定時)約210円約70円
精密眼圧測定(82点)約250円約80円
細隙灯顕微鏡検査(前眼部・48点)約150円約50円
眼底検査(散瞳・検査の組合せによる)約500〜800円約170〜270円
超音波検査(Aモード・150点等)約450円約150円
1回の受診合計(目安)800〜2,000円程度270〜700円程度
※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。
※実際の費用は医療機関や当日の検査内容・算定の組み合わせによって異なります。1割負担は75歳以上の後期高齢者医療制度における一般所得者が対象です。一定以上所得者は2割、現役並み所得者は3割となります。検査のない再診のみの日は、再診料に加え外来管理加算(3割負担で約160円)が算定される場合があります。3ヶ月に1回の通院であれば、年間の受診費用の目安は3割負担で3,000〜8,000円程度、1割負担では1,000〜3,000円程度(検査内容次第)となります。

