●立法過程にも疑問
自民党が国旗損壊罪をまとめた背景には、高市首相の強い意向があるとも報じられています。
しかし、それでは「国会は全国民の代表である」と定める憲法43条の建前から乖離し、政治の私物化とも言われかねません。
自民党は先の総選挙で多数議席を得ましたが、それは「自民党のための政治」を白紙委任されたわけではありません。
あくまで全国民の代表として政治をおこなうべきで、その立場を軽視してはならないでしょう。
●「表現の自由」の試金石
海外でも、国旗損壊を処罰する国は少なくありません。
ただ、日本国憲法は、「表現の自由」を重視するアメリカ憲法の流れを受けています。
そのアメリカでは、星条旗を損壊する行為を処罰する法律について、違憲判断が示されています。
こうした不快な表現に対し、国家がどこまで寛容でいられるのか。それ自体が、「表現の自由」や民主主義の試金石ではないでしょうか。
もちろん、日の丸を燃やす行為に共感できないという人は多いでしょうし、そのやり方への批判も当然にあります。
しかし、それを国家が刑罰によって取り締まることは、まったく別問題です。
日の丸を尊重するかどうかは、本来、国民一人ひとりの自由であるべきです。
刑罰によって抑え込むやり方は、結果として「日の丸には関わらないほうがいい」というタブーを生み出しかねません。
力による取り締まりは、民主主義というより、むしろ全体主義的な発想に近づいていく危険性を持っています。
【取材協力弁護士】
猪野 亨(いの・とおる)弁護士
札幌弁護士会所属。離婚や親権、面会交流などの家庭の問題、DVやストーカー被害、高齢者や障害者、生活困窮者の相談など、主に民事や家事事件を扱う。
事務所名:いの法律事務所
事務所URL:https://law-ino.com/

