●「復旧できなくても解約できない」とされたクラウドサービス
松田さんは2023年6月、机から落としてデータを読み込めなくなったハードディスクを業者に発送し、無料の初期診断を受けた。
その後、同月22日に担当者から「データ復旧の可能性がある」と連絡があり、当日中に費用などの説明を受けて契約したという。
データの大半は仕事に関するもので、学生の授業で使用する資料など、早急に必要なものだった。
訴状によると、松田さんは当初、90万円超の費用を提示され、支払いが難しいと伝えたところ、(1)77万〜82万円の通常プランと、(2)クラウドバックアップサービス付帯プランの2つを提案されたという。
後者は復旧費用が十数万円に下がる一方、容量2000GB・月額4万9800円のクラウドサービス(最低1年間は解約不可)への加入が条件とされ、松田さんはこのプランを契約したという。
しかし、契約から約2週間後の7月7日、「復旧できなかった」との報告を受けた。
原告側によると、このクラウドサービスは復旧されたデータを格納するためのものだったというが、データが復旧できなくても解約できず、利用料の支払いが続いたという。
●初期診断時点でわかっていた「極めて難易度が高い」状態
原告側によると、作業報告書に添付されていたHDDの症例写真は「サンプル」であり、「あなたのケースはサンプル2に該当」といった記載があるのみで、松田さんのHDDの写真はなかったとしている。
また、作業報告書には、初期診断でハードディスクの磁気ディスクに傷(スクラッチ)が確認されていたことが記載されていた。原告が示した報告書には、
「スクラッチが発生しているハードディスクからのデータの抽出は極めて難易度が高いものの、オリジナルを一時的に修復し、正常なハードディスクにデータを移行することで、ご希望データを復旧できる可能性があると判断いたしました」
と記されていた。
しかし、原告側は、契約時に「極めて難易度が高い」との診断結果について説明がなかったと主張している。
契約の判断に影響を与えうる重要な情報が、契約後の作業報告書で明らかになったことに、松田さんは不信感を抱いたという。

