大腸内視鏡検査後の腹痛で気をつけたい合併症は?
ここではメディカルドック監修医が、検査後の重篤な異常から疑われる合併症を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
腸管穿孔
腸管穿孔とは、大腸の壁に穴が開いてしまう状態です。内視鏡の操作や送気による物理的な圧力、あるいはポリープ切除の際に電気メスで腸壁に過剰なダメージが加わることで生じます。発生頻度は診断的検査で0.0032%(0.032/1000件)、治療的検査(ポリープ切除など)で0.033%(0.33/1000件)と報告されています。検査中の穿孔であれば、内視鏡で穿孔部を閉鎖する処置を行います。検査後に発覚した場合は、症状が軽症なら絶食・点滴・抗生剤投与による保存的治療を行います。ただし穿孔部が大きく、腹痛などの症状が強いもしくは保存的加療でも改善しない場合は、外科手術(開腹手術または腹腔鏡手術)が必要になります。検査後に急激に強くなる腹痛、発熱、腹部全体の硬直(腹膜刺激症状)が現れた場合は、直ちに検査を行った医療機関(消化器内科や外科)に連絡し、受診の相談をしてください。夜間・休日の場合は救急外来の受診もお勧めします。
術後出血
術後出血とは、生検やポリープ切除後に、処置を行った部位から出血が続いたり、後日(遅発性出血として)出血が起きたりすることです。特にポリープの切除後は、切除面の血管から出血することがあります。遅発性出血は検査翌日から数日後に生じるもので、抗血栓薬(血液をさらさらにする薬)を服用している方では出血リスクが高い傾向にあります。少量の出血(便にわずかに血が混じる程度)は自然に止まることがほとんどです。しかし、出血が多い場合は再度内視鏡を挿入して止血処置(クリップ留置や凝固止血)を行う必要があります。それでも止血が困難な場合は、血管内治療(IVR)や外科手術が必要になる場合もあります。便自体が赤黒くなっている場合や血の塊が出る、ふらつきや立ちくらみを伴う出血が見られる場合は、速やかに検査を行った医療機関に連絡して、受診が必要かを相談しましょう。緊急性が高い場合は救急外来の受診も検討しましょう。
大腸内視鏡後の腹痛を和らげるための正しいケアと対処法
大腸内視鏡検査後は、使用したガスや操作の影響により、軽度の腹痛や腹部不快感が生じることがあります。適切なケアと対処法について解説します。
消化の良い食事とこまめな水分補給
検査当日は腸管洗浄薬の服用により腸内環境が変化しています。検査後の最初の食事は消化の良いものを選びましょう。おかゆ、うどん、豆腐、白身魚など、刺激が少なく消化しやすい食品が望ましいです。アルコールや香辛料の強いもの、脂肪分の多い料理、生野菜・海藻類など食物繊維が豊富な食品は腸への負担になるため、検査後しばらくは避けるようにしたほうが望ましいです。また、腸管洗浄薬の服用や絶食による脱水を補うために、水やお茶、経口補水液などでこまめに水分を補給することも大切です。
大腸カメラを受けた当日は激しい運動や飲酒、長風呂を避けて安静に
生検やポリープ切除を行った場合、処置部位の腸粘膜に傷は残っています。傷口の安静を保つために腸管を過剰に動かさないようにしましょう。具体的には検査当日は激しい運動や重いものを持ち上げる動作を避けましょう。激しい運動は腹圧を高め、腸管を強く動かすことで出血リスクを高めることにつながります。ポリープを切除した場合は特に飲酒に注意です。飲酒は血管を拡張させ出血しやすい状態を招くため、検査後数日は控えましょう。長時間の入浴(長風呂)も体への負担となるため、短時間のシャワーにとどめることをお勧めします。担当医からポリープ切除後の注意事項として具体的な指示がある場合は、その指示に従って生活しましょう。
体調不良・異変を感じたら大腸内視鏡検査を受けた医院へ相談
検査後の腹痛が数日たっても改善せず、日ごとに悪化している、発熱・大量の出血・激しい腹痛など前述した危険なサインが現れた場合は、自己判断で様子を見続けることは避けましょう。まずは検査を受けた医療機関に電話で状況を伝え、指示を仰ぎましょう。かかりつけ医や検査施設への相談をためらわず、何か気になることがあれば早めに連絡することが安心・安全につながります。大腸内視鏡検査後の合併症は早期発見・早期対応が重要であり、医療スタッフも患者さんからの問い合わせに対応する体制を整えています。

