セレンが不足すると現れる症状

日本では魚介類や肉類、穀類など、セレンを含む食品を日常的に食べるため、通常の食生活では欠乏は稀とされています。しかし、腸の吸収機能が低下していたり、食事量の減少や偏食によって不足になることがあります。
心筋障害
セレンの欠乏によって抗酸化酵素の働きが低下し、心筋細胞が酸化ストレスで損傷し、結果として心筋壊死や心不全、心筋症などをおこすことがあるとされています。中国の克山県で多発した疾患で、克山病というセレン欠乏が原因とされる疾患が報告されています。重度では生命に関わる場合もあります。
免疫機能の低下
セレンは体内の抗酸化酵素の構成成分として働いており、不足すると細胞が酸化ストレスの影響を受けやすくなります。重度のセレン欠乏では、体の機能にさまざまな影響を及ぼす可能性がありますが、日本では通常の食生活で欠乏することはまれです。長期間の完全静脈栄養や極端な低栄養、消化吸収機能の低下がある場合には注意が必要です。
疲労感・筋力低下・代謝異常
セレンは、過酸化物を分解する抗酸化酵素(グルタチオンペルオキシダーゼなど)の構成成分のため、欠乏により酵素の働きが低下し、過酸化物の除去が不十分となり、細胞内に蓄積します。結果として、筋肉や肝臓など代謝が盛んな組織で酸化ストレスが増加し、疲れやすく、筋力が落ちるといった症状がみられることがあります。また、セレンは甲状腺ホルモンの代謝に関与する酵素(脱ヨード化酵素)の構成成分でもあるため、欠乏すると代謝低下や体温調節不良などもみられることがあります。
セレンが不足しやすい人の特徴

セレンは通常の食生活で不足しにくい栄養素ですが、摂取量が極端に少ない場合や吸収障害などの条件下では欠乏することがあります。以下にセレンが不足しやすい人の特徴を示します。
栄養摂取量が極端に少ない人
摂食障害、長期の絶食、極端な食事制限を行っている人や経口摂取が困難で、長期にわたり静脈栄養のみで栄養を摂取している人などはセレン欠乏のリスクが高くなるとされています。
消化吸収機能が低下している人
セレンは胃腸から吸収されるため、消化管の疾患で吸収不良が起こっていたり、慢性的に下痢をしている方、胃腸の手術後で吸収面積が減っている人は欠乏しやすくなる可能性があります。
高齢者や慢性疾患のある方
加齢や病気の影響で食べられる量が少なく、エネルギーやたんぱく質とともにセレンも不足しやすくなります。また、歯や嚥下機能の問題により、肉や魚などセレンを多く含む食品を避けがちになる傾向があります。調理の手間や咀嚼のしにくさから、主食中心になりやすく、セレンを多く含む魚や肉の摂取量が相対的に減少します。腎疾患や肝疾患など慢性疾患による食事制限によって、セレンを多く含む食品の摂取が制限される場合もあります。

