セレンを過剰摂取すると現れる症状

セレンを長期間にわたり過剰に摂取すると、「セレシノース」と呼ばれる慢性中毒症を起こすことがあります。血中のセレン濃度が高くなり、細胞の酸化還元バランスが崩れ、呼吸器や皮膚、消化器などに障害を生じることがあります。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人男性では300μg/日、成人女性では250μg/日が耐容上限量とされています。
呼吸・循環器系の障害
サプリメントや強化食品の長期過剰摂取により、血中のセレン濃度が高くなることがあります。セレンが多すぎることで、酸化還元反応が過剰に進む状態になります。その結果、セレン化合物が細胞内で過剰に電子を受け渡し、活性酸素を増やしてしまいます。活性酸素が増えると、細胞膜やDNA、たんぱく質が酸化され、心臓や肺の機能にも直接影響を及ぼすため、呼吸困難、心筋障害、心筋梗塞などが報告されています。
皮膚・毛髪・爪の異常
セレン化合物を扱う工場などで吸入や皮膚接触による慢性暴露が起こる場合があるとされています。長期的に耐容上限量を超える暴露を続けた場合に見られる典型的な症状として、爪の変形や脱毛、皮膚の乾燥や炎症などが起こることがあります。
消化器症状
日本では稀ですが、海外ではセレン強化食品やサプリメントの製造工程ミスで含有量が数十倍になり、急性中毒を起こした例があります。急な過剰摂取により、吐き気や下痢、腹痛などの胃腸障害が報告されています。
セレンの効率的な摂取方法

セレンは通常の食事から十分に摂取できる栄養素ですが、効率的に取り入れるためには、食品の選び方や組み合わせが大切です。
主菜に魚介類を取り入れる
セレンは魚介類に最も多く含まれます。加熱による損失はごくわずかで、焼き魚・煮魚や刺身など、加熱・非加熱どちらでも安定して摂取できます。
肉・穀類をバランスよく
セレンは肉類(特にレバー・腎臓)などの内臓類に多く含まれています。穀類では輸入硬質小麦やそばが比較的多く、特に主食として自然に摂取できます。
偏食を避け、通常の食事から摂る
サプリメントによる過剰摂取は耐容上限量を超えるおそれがあるため、通常の食事からの摂取が安全です。魚・肉・卵や穀類、豆類を組み合わせ、多様な食品群からの摂取が最も効率的かつ安全な方法です。
「セレンの不足」についてよくある質問

ここまでセレンなどを紹介しました。ここでは「セレンの不足」についてよくある質問に、メディカルドック監修管理栄養士がお答えします。
セレンが不足するとどのような症状が現れますか?
山口 恵里(管理栄養士)
通常の食生活では不足の可能性はほぼありませんが、偏食や慢性的な疾患により不足すると心筋症や皮膚の異常などが現れることがあります。
通常の日本人の食生活をしていれば不足の可能性はほぼありません。しかし、偏食や慢性的な疾患によってセレンが不足すると、心筋症や皮膚の異常などの症状が現れることもあります。また、セレン欠乏が原因とされる疾患には、心筋障害を起こす「克山病」や、骨や関節の変形を伴う「カシン・ベック病」があります。いずれも重度の欠乏で発症する病気ですが、通常の食生活では心配ありません。
セレンを食事で効率よく摂取するには、どのような食品を選べばよいですか?
山口 恵里(管理栄養士)
まぐろやかつおなどの魚介類やレバーなどの肉類が豊富です。主食・主菜・副菜を揃えた多様な食品摂取が効率的です。
セレンは主に動物性の食品に含まれております。まぐろやかつおなどの魚介類やレバーなどの肉類にも豊富です。穀類にも含まれているため、主食・主菜・副菜を揃え、多様な食品をとることで効率よくセレンを摂取することが可能です。
編集部まとめ
セレンは、抗酸化酵素や甲状腺ホルモンの代謝に関わる重要な微量ミネラルです。通常の日本人の食生活では不足することはほとんどなく、魚介類を中心に、肉類や穀類を組み合わせた食事で効率的に摂取できます。一方で、偏食や吸収障害、長期の栄養制限がある場合には欠乏することがあり、心筋症や皮膚の異常などの症状が報告されています。逆にサプリメントなどによる過剰摂取は耐容上限量を超えるおそれがあり、呼吸器や皮膚、消化器への障害を引き起こすことがあります。そのため、セレンはサプリメントに頼らず、魚や肉、穀類など多様な食品を組み合わせた「通常の食事」から摂取することが最も安全で効率的です。日々の食事バランスを整えることが、セレンを含む微量栄養素の安定した摂取に繋がります。
「セレン」と関連する病気
「セレン」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
循環器系の病気
心筋症(克山病)
心不全心筋梗塞骨・関節系の病気
カシン・ベック病
代謝系の病気
セレシノース(セレン中毒)
「セレン」と関連する症状
「セレン」と関連している、似ている症状は12個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
筋肉痛免疫障害
脱毛
爪の変形
皮膚の異常
胃腸障害
神経系異常
吐き気下痢
腹痛疲労感
頭痛参考文献
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書|厚生労働省
食品成分データベース|文部科学省
セレン|「健康食品」の安全性・有効性情報
セレニウム(セレン)|厚生労働省eJIM
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