重症筋無力症の発症に関係する可能性のある要因

現在の患者数の推移や、日常生活に潜む症状悪化の引き金を解説します。
重症筋無力症の患者数
2018年の全国調査の時点で、日本国内にはおよそ2万9210人の患者さんがいると報告されています。
厚生労働省の難病情報センターがまとめた2018年の全国疫学調査によると、重症筋無力症の患者数は2万9210人にのぼります。これは人口10万人あたりに換算すると、およそ23.1人の方がこの病気にかかっている計算になります。
年齢や性別による発症の傾向
50歳以上の高齢で発症する患者さんの割合が、全体の66.1%に達しています。2006年の調査時点では41.7%であったことから、高齢の方の発症が増加していることが明白になっています。発症年齢の中央値を見ても、全体で59歳となっており、中高年以降に注意が必要な病気へと変化しています。
性別で見ると、男性の発症年齢の中央値が60歳、女性が58歳であり、男女比は1対1.15と女性にやや多く見られます。
感染やストレスなどの影響
発症の直接的な原因ではありませんが、すでに病気を持っている方の症状を急激に悪化させる大きな要因となります。
重症筋無力症そのものを引き起こす根本的な原因は自己抗体ですが、日常生活のなかにあるさまざまな要因が引き金となり、症状が急激に進行することがあります。
重症筋無力症の原因についてよくある質問
ここまで重症筋無力症の原因を紹介しました。ここでは「重症筋無力症の原因」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
重症筋無力症は誰でも発症する可能性がありますか?
高宮 新之介 医師
はい、年齢や性別にかかわらず、誰もが発症する可能性のある病気です。前述のとおり、重症筋無力症は現在、50歳以上の高齢の方での発症が増えていますが、乳幼児からお年寄りまで幅広い世代で診断される病気です。自分には無縁だと考えることはできません。
一部の患者さんでは、ご家族の中に何らかの自己免疫疾患を持つ方がいるケースも見られますが、親から子へ直接的に遺伝する典型的な遺伝性疾患ではありません。遺伝する特殊な筋無力症もごくまれに存在しますが、一般的な自己免疫性の重症筋無力症が親から子へ遺伝することはないとされています。
重症筋無力症を予防することはできますか?
高宮 新之介 医師
発症そのものを防ぐことは現在の医学では困難ですが、発症後に症状の悪化を防ぐことは十分に可能です。なぜある日突然、免疫システムが自分自身を攻撃し始めるのか、その根本的なスイッチが入る理由はまだ完全には解明されていません。そのため、重症筋無力症の発症を未然に防ぐ方法である一次予防は、残念ながら存在しません。

