●「裁判所が持つ録音にアクセスできないのが問題」
アメリカでは「PACER」というオンラインシステムを通じて、多くの裁判記録を誰でも閲覧できる。
一方、日本では裁判記録の閲覧には手続きが必要で、刑事事件になるとハードルはさらに高くなる。
「もちろん、未成年やDV、セクハラなどが関係する裁判では、当事者のプライバシーを考慮する必要はあります。
ただ、裁判所は非常に大きな権限を持っている組織です。その権限をどのように運用しているかはとても重要な問題であり、できるだけ透明にする必要があります。
だからこそ、裁判の記録は原則として公開すべきです。日本の裁判所は、考え方が『非公開原則』になっています」
レペタさんは「公開が原則であり、非公開は例外であるべき」と繰り返した。

そして、電力会社の担当者による法廷録音が問題視されることについても、次のような考えを示した。
「裁判所には正確な記録を作る義務があります。その意味で、法廷のやり取りを録音する目的は、記録が正しいものなのかを確認するためのバックアップです。
だから、たとえ法廷での録音が禁止されていても、裁判所が保有している録音データにアクセスできる仕組みが整っていればよいのです。しかし、その仕組みは用意されていないと聞いています。
今の時代、無断で録音をしようとさえ思えば、誰もが携帯電話などを使って録音することができます。そのため、法廷で審理された内容をきちんと確認できるようにするため、少なくとも弁護士や検察官については、基本的に法廷での録音を認めるべきだと思います」
●山上徹也被告人の裁判めぐり「工夫できる」
裁判公開をめぐっては、安倍晋三元首相銃撃事件でも問題になった。
山上徹也被告人の裁判には社会的な関心が集まり、奈良地裁には連日多くの市民が詰めかけた。
今年1月21日の判決公判では、31の一般傍聴席に対して685人が申し込み、倍率は約22倍に達した。
裁判開始前からジャーナリストらは、傍聴の機会を広げるよう求めていたが、奈良地裁は応じなかった。
レペタさんは、こうした状況も裁判公開の課題だとみている。
「アメリカでは審理の様子がオンラインでライブ配信されることもあります。
使っていない裁判所の別室にモニターを設置して、法廷の映像を流すなど、いろいろと工夫することはできます。
記者席を除けばわずかな傍聴席しかない法廷で、抽選に当たった人しか裁判を見ることができないという状況は、1989年の最高裁判決の精神に照らしても疑問があります。
そういうことをしていて、国民の信頼を得られるのでしょうか」

