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【名画の舞台を巡る】“100年前の東京”は今どうなった?川瀬巴水の夜景を探そう

③中央区〜江東区・隅田川周辺「東京二十景 新大橋」(1926)

新大橋, Public domain.

隅田川に架かる新大橋も巴水が作品に残した東京の風景のひとつです。現在の新大橋は中央区日本橋浜町と江東区新大橋を結び、通勤や観光で多くの人が行き交う橋となっています。

巴水の『東京二十景 新大橋』に描かれているのは、雨が降る夜の新大橋です。絵には人力車を引く人が暗い橋の上を進み、わずかな街灯の光が濡れた路面に映り込んでいます。

『東京二十景 新大橋』『東京二十景 新大橋』, Public domain.

当時の新大橋は、1912年に架け替えられた鉄橋でした。橋の上には都電が走り、隅田川を渡る重要な交通路として利用されていました。1923年の関東大震災では、隅田川に架かる多くの橋が被害を受けるなか、大きな損傷を免れています。避難路として多くの人々に利用され「人助け橋」や「お助け橋」と呼ばれるようになったといわれています。

現在の橋は巴水が描いた頃とは姿が異なりますが、橋の上から眺める隅田川のロケーションは今も変わりません。周辺には高層ビルが建ち並び、夜には無数の明かりが川面を照らしています。

巴水の版画と見比べると、東京がどれほど大きく変化したのかを実感できる一方で、隅田川が今も街の中心に流れ続けていることも分かります。

④北区・滝野川周辺「東京二十景 滝之川」(1929)

石神井川, Public domain.

現在の東京都北区を流れる石神井川周辺も、巴水が描いた東京の風景のひとつです。滝野川(滝之川)は現在の石神井川の別名で、川が大きく蛇行して起伏のある地形を流れていたことから「滝のような川」と呼ばれるようになりました。

『東京二十景 滝之川』, Public domain.

『東京二十景 滝之川』はそんな滝野川の夜の風景を描いた作品です。絵には細い川に架かる橋や大きくそびえ立つ木が描かれ、空には三日月が静かに浮かんでいます。

和服の女性と子どもが橋を歩く姿が描かれており、遅い時間ではないようです。家々のほのかな明かりが川面に映り込む様子からは、当時の東京の夜がいかに静かであったかが伝わってきます。

静かな夜の滝野川ですが、当時の周辺には渓谷のような景観も見られ、四季折々の自然を楽しめる場所として親しまれていたそうです。現在の石神井川沿いにも緑が残されており、当時の面影を感じられます。

配信元: イロハニアート

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