セロトニンの働き(役割)

セロトニンは、私たちの心と体の両面でさまざまなはたらきを担っている大切な物質です。ここでは特に代表的な5つの役割について、それぞれ順番にご紹介していきましょう。気分の安定だけでなく、睡眠や腸の動きにも深く関わっている点が、大きな特徴といえます。
精神の安定
セロトニンは、ドパミンやノルアドレナリンといった神経伝達物質のはたらきを調整しています。これによって過度な興奮や不安をしずめ、心を落ち着いた状態に保つと考えられているのです。そのため不足すると、攻撃性が高まったり、不安を感じやすくなったりすることが知られています。心の安定を支える、土台のような存在といえるでしょう。
睡眠リズムの調整
日中につくられたセロトニンは、夜になると睡眠を促すメラトニンの材料へと変わります。つまり日中にしっかりと分泌させておくことが、夜の自然な眠気へとつながっていくのです。朝起きてすぐに光を浴びる習慣は、乱れた体内時計を整えるうえでも役立つと考えられています。規則正しい生活が、よい睡眠の鍵を握ります。
自律神経のバランス
セロトニンは、覚醒と休息を切り替える自律神経のバランス調整にも関わっている物質です。朝の目覚めをすっきりとさせ、体を一日の活動に適した状態へと導くはたらきがあります。心と体を一日の始まりに向けて整える、いわばスイッチのような役割を果たしているのです。活動と休息のメリハリを生み出す存在といえます。
痛みの調整
セロトニンは、脳から脊髄へとはたらきかけ、痛みの伝わり方をやわらげる仕組みに関わっていると考えられています。この仕組みは下行性疼痛抑制系と呼ばれ、過剰な痛みをおさえる方向に働くとされています。そのため不足すると、ふだんよりも痛みを感じやすくなる場合があると指摘されているのです。痛みとのつき合い方にも関わる物質といえるでしょう。
腸のはたらきの調整
体内のセロトニンの大部分は、腸の壁にある細胞でつくられているという点が大きな特徴です。腸でつくられたセロトニンは、消化管の動きをなめらかに調整する役割を担っています。ただし腸のセロトニンは脳へは移動せず、精神面とは別のはたらきをすると考えられています。心と腸の両方に関わる、興味深い物質です。
自然に触れるとセロトニンの分泌が増えるのはどうして?

自然の中で過ごすと、なんとなく気分が落ち着くと感じる方は多いのではないでしょうか。この心地よさには、セロトニンの分泌が深く関わっていると考えられています。ここでは、自然に触れると分泌が増えるとされる要因を、3つに分けてくわしく解説していきます。
太陽光による刺激
セロトニンをつくる神経は、目から入ってくる太陽光によって活性化されると報告されています。屋外の光は曇りの日であっても室内よりはるかに明るく、刺激として十分な量とされています。特に起床してすぐの時間帯に光を浴びると、分泌が促されやすいと考えられているのです。朝の光を味方につけることが大切です。
歩行などのリズム運動
一定のリズムをくり返すリズム運動も、セロトニン神経を活性化させると報告されています。散歩のような歩行は代表的なリズム運動であり、誰でも無理なく続けやすい点が大きな利点です。始めてから数分で濃度が高まり、20〜30分ほどでピークに達するとされています。短い時間からでも気軽に取り組めるでしょう。
ストレスの軽減
自然の中ではストレスがやわらぎ、心と体がリラックスすることがよく知られています。緊張時に高まる交感神経がしずまり、休息に関わる副交感神経が優位になっていくのです。この落ち着いた状態は、セロトニンがはたらきやすい環境につながると考えられています。心身を緩める時間が、よい循環を生みます。

