平日と週末のリズム差が疲れをためてしまう
回復はまとめて行えるものではない
疲れを回復するというと、週末にゆっくり休めば取り戻せるものだと考えがちです。平日は忙しいのだから、休日にまとめて休めばいい、という発想はよくあります。しかし実際には、回復はまとめて行えるものではありません。脳は、日々の生活のなかで少しずつ回復し、整っていくものです。週末だけ特別に休もうとしても、十分な回復にはつながりにくいといえます。
ここで注目したいのが、平日と週末の生活リズムの差です。平日、子どもは決まった時間に起き、学校や習い事に向かい、時間に追われながら過ごします。起床、登校、授業、帰宅と、一定のリズムのなかで一日が進んでいきます。一方で週末は、起きる時刻も寝る時刻もズレ、予定が入ったり入らなかったりと、流れが大きく変わります。この差が大きいほど、脳はどこで休めばよいのかわからなくなり、落ち着きどころを失いやすくなるのです。
一見すると、週末は自由で楽な期間のように思えます。時間に縛られず、好きなことができるため、気分転換にもなりそうです。しかし、平日とはまったく違うリズムで過ごすこと自体が、体と脳にとっては大きな負担になりかねません。
毎日ほぼ同じ時刻に起き、同じような流れで一日を終えるという生活が続くことで、脳は「この時間になれば力を抜いていいんだ」と学習していきます。ところが平日と週末で生活リズムが大きく異なると、つくり上げた流れが毎週のように途切れ、また最初から整え直すことになってしまいます。
とくに注意したいのは、週末に生活リズムが大きく後ろへズレ込む場合です。明日は土曜日で休みだからと夜更かしをして朝遅く起きれば、体内のリズムは平日とは違う状態になります。日曜日の夜になっても気持ちが切り替わらず、月曜日の朝に再び早起きをすると、脳は急な活動を求められます。この切り替えそのものが負担となり、回復よりも調整に力を使うことになるのです。
そして、週末になって活動量が極端に増える場合にも、同じことが起こります。平日は疲れを抱えながら学校に通い、週末には習い事に多くの時間を費やすという過ごし方では、回復に向かう時間が入り込みません。平日と週末のどちらにも、しっかりと力を抜けるようなタイミングがなく、結果として疲れはそのまま残り、次の平日へと持ち越されてしまいます。
平日と週末のリズム差が、疲れをためる
疲れは週末にまとめて回復できるものではありません。平日と週末の差が大きいほど、体と脳は整いにくくなります。

イラスト:しゅんぶん
楽しい予定が逆に疲れを増やすこともある
また、平日が忙しいほど、「週末にはせめて子どもと一緒に過ごしたい」と考える親御さんは多いです。しかし、週末に予定が詰まり、外出やイベントが続くと、平日の忙しさによって崩れかけていた回復の流れがさらに悪化してしまいます。
もちろん、週末の外出は家族の楽しい時間です。しかし同時に、実は子どもにとっては気を使う時間でもあります。外出そのものが悪いわけではありませんが、予定が続きすぎると平日と同じ忙しい日常が繰り返されてしまいます。周囲に合わせる、指示を聞く、先の予定を意識する。そうした状態が続くと、脳は休まりません。
とはいえ、平日と週末をまったく同じように過ごす必要はありません。ただ、生活リズムの差が大きくなりすぎないように意識しましょう。たとえば、いつも同じくらいの時間に起きる、夜の過ごし方を極端に変えない、何もしない時間を確保する。そうした小さな工夫が、脳に過度な刺激を与えることなく、安定をもたらします。
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子ども脳疲労
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※本記事は、『子ども脳疲労』<著:成田 奈緒子/日本文芸社>より抜粋・再編集して作成しました。
成田奈緒子小児科医・医学博士。公認心理師。子育て科学アクシス代表・文教大学教育学部教授。 1987年神戸大学卒業後、米国セントルイスワシントン大学医学部や筑波大学基礎医学系で分子生物学・発生学・解剖学・脳科学の研究を行う。2005年より現職。臨床医、研究者としての活動も続けながら、医療、心理、教育、福祉を融合した新しい子育て理論を展開している。著書に『「発達障害」と間違われる子どもたち』(青春出版社)、『高学歴親という病』(講談社)、『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』(共著、講談社)、『子どもにいいこと大全』(主婦の友社)など多数。近著に『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(共著、SBクリエイティブ)がある。→記事一覧へ