ビタミンB1以外のにんにくに含まれる栄養素

にんにくに含まれる栄養素は、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年に記載されている、にんにく類/にんにく/りん茎/生の可食部100gあたりの数値を参考にしています。
ビタミンB6
ビタミンB1以外のビタミンとして含有量が多い成分として、ビタミンB6があります。約1.53㎎含まれています。ビタミンB6は、生鮮食品の中では主にリン酸やたんぱく質と結合した状態で存在しています。補酵素(酵素の働きを助ける成分)として多くのアミノ酸の代謝を助けています。免疫機能の働きの維持、皮膚の抵抗力の増進、赤血球のヘモグロビンの合成、神経伝達物質の合成などの作用もあり、脂質の代謝にも関与しています。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、一日の推奨量は成人男性1.4〜1.5㎎、成人女性1.2㎎です。妊婦・授乳婦では0.2〜0.3㎎の付加が推奨されています。ビタミンB6は肉類や魚介類などの動物性食品に多く、植物性ではバナナやにんにく、玄米に多く含まれています。
カリウム
カリウムは約510㎎含まれています。体内ではほとんどが細胞内に存在しています。細胞外液に多いナトリウムと作用しながら水分を保持したり、細胞の浸透圧の維持をしたりする役割をはたしています。そのほか、神経刺激の伝達、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節などの働きをしています。また腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制して、尿中への排泄を促進するため、血圧を調整する働きもあります。日本人の食事摂取基準(2025年版)での目安量は、成人男性2500㎎、成人女性2000㎎とされています。過剰摂取の危険性は低いとされ、耐用上限量は設定されていませんが、腎機能が低下している場合には、うまく排出されなくなり、四肢のしびれや筋収縮の調整ができなくなることがあります。腎機能に障害がある場合は医師の指示に従うようにしましょう。
リン
リンは約160㎎含まれています。成人の体内では、約85%が骨や歯の構成成分として存在します。腸管でビタミンDによって吸収が促進されます。骨や歯の発達に不可欠な成分で、ハイドロキシアパタイトとして構成しているほか、さまざまな代謝反応に関与しています。日本人の食事摂取基準(2025年版)では1日の目安量は、成人男性で1000㎎、成人女性で800㎎と設定されています。加工食品には食品添加物として使われるリン酸塩が多く含まれているため、多く摂りすぎてしまうことがあります。インスタント食品などの摂取が多い場合には注意が必要です。
アリシン
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年には成分値としての記載はありませんが、にんにくやねぎなどヒガンバナ科の野菜にはアリシンという強い香りをもつ硫黄化合物が含まれています。アリシンは、にんにくをつぶす、刻むなどの調理をすることによって、アリインという物質が分解され、生成されます。アリシンは、ビタミンB1と結びつき、効果を持続させる働きがあるとされています。
にんにくの健康効果

たんぱく質の代謝をサポート
にんにくに含まれるビタミンB6は、生鮮食品ではリン酸やたんぱく質と結合した状態で存在しています。調理や消化の過程で分解され、ピリドキサール、ピリドキサミン、ピリドキシンとなって吸収されます。ビタミンB6はアミノ酸の代謝やエネルギー産生に関わる補酵素として働き、筋肉や臓器、皮膚、髪、爪など組織の維持や再生を助けます。
疲労回復サポート・エネルギー代謝促進
にんにくに含まれるアリシンは、ビタミンB1と結合してアリチアミンという物質に変化します。ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える際に必要な栄養素であり、アリチアミンになることで体内で利用されやすくなるとされています。そのため、にんにくをビタミンB1を多く含む豚肉などと組み合わせて摂取することは、日々のエネルギー代謝を支える食事の工夫のひとつといえます。ただし、にんにくを食べるだけで疲労が回復したり、スタミナが向上したりするとは断定できないため、主食・主菜・副菜をそろえたバランスのよい食事の中で取り入れることが大切です。
免疫機能の維持をサポート
にんにくには、アリシンをはじめとする硫黄化合物が含まれています。これらの成分については、健康維持への関与が研究されていますが、にんにくを食べるだけで免疫力が高まる、風邪を予防できるといった効果を断定することはできません。日々の体調管理には、特定の食品に頼るのではなく、主食・主菜・副菜をそろえたバランスのよい食事や十分な睡眠、適度な運動を心がけることが大切です。
にんにくを食べる時の注意点

今回は生のにんにくを食べる際の注意点を3つお伝えします。
生にんにくを空腹時に食べることは控える
生のにんにくを空腹時に食べると、胃の粘膜を荒らしたり、腸内の善玉菌まで殺してしまったりすることが原因です。その結果、胃や腸が荒れやすくなることがあります。生にんにくを食べるときは、他の食べ物を胃にいれてから、または料理と一緒に食べることをおすすめします。
生にんにくを食べ過ぎない
生にんにくを食べ過ぎると、アリシンの強い殺菌・抗菌効果により、腹痛や下痢、口内炎の原因になることがあります。また、長期間の食べ過ぎは腸の動きを抑制してしまうという報告もあります。
口臭が気になる場合は乳製品を活用する
生にんにくを食べた後のにおいが気になる場合は、牛乳やヨーグルトなどの乳製品を一緒に摂る方法があります。乳製品に含まれるたんぱく質や脂質は、にんにく特有のにおい成分を抑える働きが期待されています。ただし、乳製品を一緒に摂ることで胃腸への刺激を確実に緩和したり、腸内環境を保護したりできるとまでは断定できません。生にんにくによる胃腸への負担を減らすには、一度に多く食べすぎないことや、空腹時を避けて料理と一緒に少量ずつ取り入れることが大切です。
にんにくの栄養素を効率的に摂取する方法

刻んで少し置いてから調理する
にんにくに含まれるアリシンを効率よく摂取するには、みじん切りにしたり、すりおろしたりして細胞を壊すことがポイントです。にんにくを刻む・つぶすことで、もともと含まれるアリインが酵素の働きによってアリシンに変化します。ただし、この酵素は熱に弱いため、加熱調理する場合は刻んだ後すぐに火を通すのではなく、10分ほど置いてから調理するとよいとされています。アリシンは水に溶けやすく揮発しやすい性質もあるため、長時間水にさらしたり、調理後に放置したりすることは避けましょう。薬味として生で使う場合は、食べる直前に刻む・すりおろすことで、香りや成分を活かしやすくなります。
日常の食事に少しずつ取り入れる
にんにくは一度にたくさん摂取すると、胃腸の不調や口臭・体臭の原因になることがあるため、大量摂取は避けましょう。毎日の食事では、料理の香りづけや薬味として少量ずつ取り入れるのがおすすめです。にんにくを油と合わせる場合は、炒め物やソースなど調理の中で使い切るようにしましょう。家庭でにんにくをオイル漬けにして長期間常備すると、保存状態によっては食中毒のリスクがあるため、作り置きや常温保存は避け、作った場合も冷蔵保存して翌日までに使い切ることが大切です。
豚肉と組み合わせて摂取する
にんにくのアリシンの代謝促進効果を活かすには、ビタミンB1やビタミンB6を多く含む食品と組み合わせると、より効率よく摂取することができます。ビタミンB1が多く含まれる食材のひとつに豚肉があります。豚肉の野菜炒めににんにくを加えたり、ステーキにガーリックソースを合わせたりすることで、効率よく摂取できます。にんにくのアリシンは油でコーティングすると熱で損なわれにくくなるため、損失は少ないとされています。
にんにくの保存方法や期間

まるごとのにんにくの保存方法
まるごとの状態でストックするにんにくは、すぐに使わないときは、常温か冷蔵で保存しましょう。常温で保存する場合は直射日光を避け、風通しをよくすることが大切です。ネットの袋に入れて吊るすか、カゴやザルに入れて保存しましょう。約1週間から10日間ほどが保存の目安です。冷蔵で保存する場合には、皮を剥かずにキッチンペーパーなどで包み、ジッパー付き保存袋に入れて冷蔵庫へ入れます。冷蔵保存では約1か月から2か月ほどが保存の目安です。保存している際に芽が出てしまったら、取り除くことをおすすめします。また、皮全体が柔らかくなっていたり、異臭がした場合には傷んでいるため食べることは避けましょう。
使いかけのにんにくの保存方法
使いかけのにんにくを保存するには、冷蔵、または冷凍がおすすめです。冷蔵保存は約1週間から10日間が目安です。薄皮つきのまま、1片ずつわけます。ジッパー付き保存袋に入れ、空気を抜いて口を閉じて冷蔵庫へ保存します。薄皮まで剥いた状態であれば、1片ずつラップに包んで乾燥を防ぎます。冷凍保存の目安は約3か月です。1片ずつ分けて、ジッパー付き保存袋に入れ、金属トレイに載せて急速冷凍します。カット、スライス、すりおろしたにんにくも、ラップに包んでジッパー付き保存袋に入れて冷凍が可能です。加工しているため、保存期間は約1か月くらいを目安に使い切るようにしましょう。
「にんにくとビタミンB1」についてよくある質問

ここまでにんにくについて紹介しました。ここでは「にんにくとビタミンB1」についてよくある質問に、メディカルドック監修管理栄養士がお答えします。
ビタミンB1が多い食品はなんでしょう?
神尾 澄恵(管理栄養士)
たんぱく源では豚肉やうなぎ、穀類では玄米、豆類は枝豆やそら豆、種実類ではピーナッツやごまなどに多く含まれています。
たんぱく源になる食品では肉類は豚肉、魚介類はうなぎに多く含まれています。そのほか、穀類では玄米、豆類は枝豆やそら豆、種実類ではピーナッツやごまなどに多く含まれています。
ビタミンB1を含む食品とにんにくを一緒に食べるとどうなりますか?
神尾 澄恵(管理栄養士)
にんにくのアリシンがビタミンB1と結合してアリチアミンに変化し、ビタミンB1が体内に長く留まりやすくなるため、エネルギー代謝の活性化や疲労回復効果が持続しやすくなります。
ビタミンB1を含む食品とにんにくを一緒に食べると、にんにくのアリシンがビタミンB1と結合してアリチアミンに変化します。これにより、体内に吸収される際に、ビタミンB1が体内に長く留まるようになるため、エネルギー代謝の活性化や疲労回復の効果が持続しやすくなります。
編集部まとめ
にんにくは根元の鱗茎を食用とする野菜です。ビタミンB1、ビタミンB6、カリウム、リン、そしてアリシンなどの栄養素が含まれています。これらは体内の代謝を促進し、免疫機能の維持や疲労回復に効果があるとされています。アリシンを効率よく摂取するには、刻む・すりおろすなどして成分を活性化させることがポイントです。また、ビタミンB1の多く含まれている豚肉との摂取もおすすめです。しかしながら、一度に大量の摂取は、胃腸の不調や、口臭の要因にもなるため、毎日の食事に少量ずつ継続して摂取することが体への負担も少ないとされます。購入したにんにくは、状態に合わせて常温・冷蔵・冷凍を使い分け、保存しましょう。
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関連する症状
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風邪胃腸の不調
下痢
腹痛口臭口内炎参考文献
ニンニク/大蒜/にんにく|旬の野菜百科
食品成分データベース|文部科学省
ビタミンB1の働きと1日の摂取量|健康長寿ネット
ビタミンB6/B12の働きと1日の摂取量|健康長寿ネット
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