富山県に住む男性による「無差別殺人」計画は、一人の通報によって未然に防がれた。
通報したのは、東京都在住の大友秀逸さん(50)。SNSで届いた異変を見逃さず、警察にかけあったことで、最悪の事態は回避された。
だが、大友さんへの取材から見えてきたのは、“美談”だけで片付けてはいけない現実だった。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)
●最初の連絡から10日後、通報を決断
富山県滑川市の男性(53)が7月12日、殺人予備の疑いで県警に逮捕された。
容疑は、東京都内で不特定多数の人を殺害しようと考え、東京行きのバスを予約し、自宅のリュックサックにナイフ1本を入れるなどしたというものだ。
約2週間前の7月1日、大友さんはXを通じて、この男性から無差別殺人をほのめかす内容のメッセージを受け取った。
5往復ほどやり取りを重ねるうち、「本当に事件を起こそうとしている」と感じ、7月11日に警察へ通報することを決めた。
●「来てもらっても何もできない」最寄り警察署の対応が一転二転
相手の名前や住所は聞いていなかったが、男性のXやブログの投稿から、富山県に住んでいるらしいことなどは推測できた。
また、男性は大友さんに、東京行きの片道切符を購入したこと、7月13日夜に富山を出発し、翌14日朝に新宿に到着する予定であることを伝えていた。
危険が差し迫っていると考えた大友さんは、まず、自宅近くの警察署に電話をかけた。
男性から送られてきたメッセージを説明し、「こんなやり取りをしている人がいるんです」と伝えると、警察署の担当者から「110番にかけて、富山の警察署につないで説明してもらったほうがいい」と言われた。
大友さんはすぐに富山県警に電話し、これが結果的に無差別事件の実行を予防するきっかけとなった。
ただその後、最初に電話した自宅近くの警察署から今度は「署員を大友さん宅に向かわせます」と言われたという。
大友さんは「来てもらうのは悪いので、こちらから向かいます」と伝え、家を出た。
すると、途中でまた警察署から電話があり、「来てもらっても何もできないから、来なくていいかもしれません」と一転した対応を受けたという。
大友さんは「『もう関わりたくない』というスタンスを感じました」と振り返る。


