頭痛、まぶたのイボ、口渇、そして…? 見逃せない4つのサイン
編集部
数字で見ると恐ろしいですね。高血圧や糖尿病に気づくための「初期症状」はあるのでしょうか?
舛森先生
初期症状はないことがほとんどです。ただし、以下に紹介する「4つの症状」に当てはまる場合は、高血圧のリスクが高い可能性があります。
頭痛・肩こり
舛森先生
血圧が高すぎると「高血圧脳症」といって、頭痛や頭の重さ、吐き気を催すことがあります。「片頭痛だと思っていたら実は高血圧脳症だった」という人もいます。また、血圧が上がると交感神経が活性化して血管が収縮し、筋肉への血流が減るため、筋肉の疲労が回復しづらくなり、肩こりが出現することもあります。
眼瞼黄色腫
舛森先生
眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ)は目の上(まぶた)にできる黄色いできもの(イボ)のことで、コレステロールが運んできた「脂」が溜まっている状態です。眼瞼黄色腫がある人の3分の1は、コレステロールが高いと言われています(※3分の2は正常です)。
口の渇き
舛森先生
血糖値が高くなりすぎると、血液中の糖分が増えて浸透圧が高くなり、血液がドロドロになります。すると体は「血管が詰まってしまう」と判断し、血液を薄めるために水分をたくさん摂るよう指令を出します。これが、異常に喉が渇いてガブガブ水を飲んでしまう生体防御反応のメカニズムです。
睡眠時のいびきや無呼吸(睡眠時無呼吸症候群)
舛森先生
睡眠時無呼吸症候群は高血圧、糖尿病、脂質異常症のリスクになります。特に高血圧との関連性は高く、睡眠時無呼吸症候群を治療するだけで血圧低下につながります。
薬に頼らず血圧を下げる方法:「DASH食」と「カリウム」がカギ
編集部
無症状のうちから薬に頼らずに血圧を下げる方法はありますか?
舛森先生
データに基づいた、比較的安価に試せる方法をご紹介します。
私がおすすめしたいのは「ダッシュ(DASH)食」と呼ばれる食事法です。塩分(ナトリウム)と炭水化物(糖質)を抑え、代わりにカリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルと食物繊維を多く摂るのが特徴です。高血圧の患者さんにDASH食を試したデータでは、最高血圧が11.4mmHg、最低血圧が5.5mmHg低下し、さらにその効果が8週間持続したこともわかっています。
「食事制限」と聞くと抵抗感を抱く人もいるかもしれませんが、完璧にやる必要はありません。例えば、小腹が空いたときのおやつを、糖分や塩分が多いスナック菓子から、カリウムと食物繊維が豊富なバナナに変えるだけでも効果が期待できます。
編集部
おやつをバナナに変えるだけでよいのなら、すぐに始められそうです! ほかにはありますか?
舛森先生
料理に使う塩を「カリウムが添加された減塩しお(減塩調味料)」に変えるのも効果的です。このタイプの塩は成分の半分が、体に溜まったナトリウムを尿で排泄する作用を持つカリウムで構成されています。
生活習慣病の予防を目的とした1日当たりの摂取目標量として、18歳以上の男性では3000mg、18歳以上の女性では2600mgと設定されています。一方で日本人のカリウム平均摂取量は2000〜2500mgと少し足りていないのが現状です。塩を変えることで、血圧を上げる原因物質(ナトリウム)の摂取量を抑えつつ、血圧を下げる成分を摂れる――。まさに「一石二鳥」になります※。
編集部
その他の生活習慣で、血圧低下に効果があると示されたデータはありますか?
舛森先生
以下のようなデータがあります。
■ 週3回の有酸素運動・血圧が4.5mmHg低下:5〜10mmHg低下
■ 食物繊維を1日11g摂取
・血圧が4.5mmHg低下:1.2mmHg低下
■ 葉酸を1日5mg摂取
・血圧が4.5mmHg低下:2mmHg低下
肉の代わりに魚を食べる、ほうれん草、ブロッコリー、アボカドといったマグネシウム・カルシウム・葉酸を含む野菜を取り入れるといった工夫だけでも、血圧低下が期待できます。明日からできる「スモールステップ」で、無理なく一つずつ生活に取り入れてみてください。
※腎臓の機能が低下している人はカリウム値が上がりすぎる場合があるため、事前に主治医に相談してください。

