「押した」認定されなくても殺人罪、内田梨瑚受刑者に懲役27年、旭川地裁が「実行行為」を認めた判決詳細

「押した」認定されなくても殺人罪、内田梨瑚受刑者に懲役27年、旭川地裁が「実行行為」を認めた判決詳細

●犯行は「非常に残虐で卑劣なもの」

裁判所の判決は、量刑の理由について、次のような考えを示した。

量刑の中心となる殺人と不同意わいせつ致死について、執拗な暴行を加え、全裸にして録画するなど強く辱めたうえで「繰り返し死を迫って橋の上から落下させている」とし、その犯行態様は「非常に残虐で卑劣なもの」と厳しく評価した。

被害者が「想像を絶する苦しみの中、17歳という若さで尊い生命を奪われた」として結果の重大性を指摘し、遺族が厳罰を望むのも当然だとした。

動機についても、被害者がコンビニで助けを求めるという当然の行動に出たことに激昂したもので「短絡的かつ極めて自己中心的」であり、「酌量の余地は全くない」と述べた。

監禁についても、未成年の被害者を夜中に一人で来るよう呼び出し、約4時間にわたって自力で帰宅することが困難な場所まで連行し、逃げ出そうとした被害者を暴力などで阻止したとして「悪質である」と指摘した。

被告人と共犯者との役割についても、被告人が「年下の共犯者らを従えて、監禁を終始主導した」と位置づけた。

共犯者にも重い責任はあるとしつつ、わいせつ行為や被害者の死亡に直接つながる行為を「決定して共犯者に指示」していたのは被告人だったとして、「被告人が果たした役割は共犯者よりも大きい」と判断した。

同種事案の量刑傾向と照らすと、「非常に重い部類に属する事案」であり、無期刑を選択すべきとまでは断じられないものの、相当長期の実刑が必要だと判断。犯行直後からの隠蔽や公判での不合理な供述から、「自責の念に基づいた真摯な反省をくみ取ることはできない」とした。

こうして判決は、謝罪の言葉や若年であること、前科がないことなど酌むべき事情を考慮しても、「有期懲役刑を選択した場合における最長の刑を科するほかない」として、懲役27年を言い渡した。

●突き落としていないが「殺人の実行行為」が認定された

最大の争点は、被告人が少女を突き落としたと認定されない中で、少女を欄干の外側に立たせ、「落ちろ」などと迫った行為を「殺人の実行行為」と評価できるかだった。

被告人は、少女が死にたいなどと言うのが本気かどうかを試すためだったとして、殺意はなかったと供述していた。

裁判所はまず、落下直前の少女の状態を、約4時間にわたる連れ回しや執拗な暴行・脅迫によって「心身共に追い詰められ、相当衰弱した状態にあった」と認定した。

そのうえで、直下約13メートルに急流が流れる橋の欄干外側の、幅約10センチしかない床板部分に立たせて「死ね、落ちろ」などと繰り返し怒鳴る行為は、「衰弱した少女がバランスを崩すなどして橋から落下し、死亡する現実的な危険性が高いもの」だと判断した。

さらに、少女が「もはや被告人らの命令に応じて橋から落ちる以外の行為を選択することができない精神状態に陥っていた」と認定。

たとえ最終的に自ら落下したとしても、被告人らの行為は「(少女)をして被告人らの命令に応じて、橋から落下するという死亡の現実的危険性が高い行為に及ばせたもの」と評価できるとした。

こうして、「橋から誤って落下したか、自ら落下したかのいずれであっても、殺人の実行行為に該当する」と結論づけた。

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