睡眠障害科の標榜を「気づけない壁」打破のきっかけに
多くの潜在患者さんは、自分が睡眠障害だと気づいていません。睡眠障害の難しさは、痛みやかゆみがないことです。朝がつらい、お酒の飲み過ぎかな、という程度で、自覚症状がはっきりしません。8時間眠っていても、実はよく眠れていないことがあります。国も、睡眠時間そのものより「休息が取れた感覚(睡眠休息感)」を大切にする考え方を示しています。
分かりやすい例が睡眠時無呼吸症です。いびきをかいているから大丈夫、と周囲から受け止められがちです。しかし大きないびきや、いびきが途中で止まる状態は、注意が必要なサインです。まず、こうした知識を患者さんに、そして診療する医師にも広く知ってもらうことが大切だと思います。今回、睡眠障害科という標榜が可能になったことは、そのための大きなきっかけになると考えています。
歯科と睡眠医療のつながり
「なぜ歯科が睡眠に関係するのか」と、よく尋ねられます。睡眠時無呼吸症の中には、顎や顔の形が関わって起こるものがあります。欧米では肥満が主な要因とされますが、日本人は顎や顔の形が関係する割合が高いといわれています。
歯科では、マウスピース(口腔内装置)で下顎を少し前に出し、気道を確保する方法があります。呼吸が楽になると、眠りの質も上がりやすくなります。顎が小さく、かみ合わせにも関わる場合には、上下顎を前に出す手術という選択肢もあります。ただ全国でも年に20〜30例ほどで、多くはありません。私が勤務する病院で診ていても、手術の適応は100人中5〜10人程度で、7〜8割はCPAP(シーパップ:睡眠中に鼻から空気を送り、気道を開いておく装置)や口腔内装置で対応します。歯科が担うのは、いわば最後の選択肢のひとつの部分です。

