■ 見たくない現実を見て、それが何を意味するかを洞察する
木村社長は、古代ローマの政治家ユリウス・カエサルの言葉とされる「人は自ら欲する現実しか見ない」という言葉を大切にしている。見たい現実だけを見るのではなく、見たくない現実を見て、それが何を意味するかを洞察することが知性だとする。
人口減少や原材料高、価格上昇は避けて通れない現実である。しかし、そこで市場縮小を前提にするのではなく、何を変えれば生活者との接点を増やせるのかを考える。研究開発からキャリアを始めた木村社長の経営観は、そうした姿勢に表れている。
こうした経営観の背景には、同氏が歩んできた多彩な現場経験がある。1992年に飲料事業へ移って以降、サントリーフーズ広域営業本部長、「ザ・プレミアム・モルツ」のマーケティング、SBFジャパンCEO、そしてホールディングスのSCM部門統括を歴任。「研究からサプライチェーンまで」を横断した異色のキャリアが、現在の経営判断の土台になっている。
研究開発出身のトップとして、木村社長は市場を悲観的に見るのではなく、条件を見極め、仮説を立て、創意工夫で可能性を広げる。「数量から逃げない」という姿勢は、清涼飲料市場を生活文化として育ててきた同社の次の成長戦略の軸となりそうだ。

