熱中症死者「半減」に向け救急医学会が2つの施策―判定アプリは無料で誰でも使用可能

熱中症死者「半減」に向け救急医学会が2つの施策―判定アプリは無料で誰でも使用可能

日本救急医学会(溝端康光代表理事)は「熱中症死者『半減』を目指す新たな一手」と題したオンライン記者会見を2026年7月13日に開催し、「Active Cooling実践の手引き」パブリックコメント募集と、熱中症判定アプリの運用開始について説明しました。7月に入り北海道を含む全国で厳しい暑さが観測され、熱中症への警戒が欠かせない日々が続きます。熱中症は重症化すると命にかかわることがある一方、適切な予防や対処によって発症や重症化を防ぐことができます。会見で発表された2つの施策は、いずれも重症化予防に資することが期待されます。概要をご紹介します。


アクティブクーリング「手引き」にパブコメ募集

会見の前半では、同学会熱中症および低体温症に関する委員会委員長で日本医科大学武蔵小杉病院 集中治療科 部長の神田潤先生が、新たにまとめた「Active Cooling(アクティブクーリング)実践の手引き(暫定版)」について説明しました。

アクティブクーリングとは、何らかの物理的な方法により積極的に体温を下げることで、重度の熱中症に対処する方法です。

同学会の「熱中症診療ガイドライン2024」では、アクティブクーリングを行うこと自体は推奨したものの、具体的にどの方法をどう使うかまでは示していませんでした。神田先生は、体温調節療法が保険適用になったことで今後利用が広がる一方、具体的な手順がないままでは施設ごとに運用が大きくばらつくおそれがあると懸念を示しました。

この課題に応えるために作られたのが実践の手引きです。現時点で得られている専門家の意見や症例報告などを踏まえ、ガイドラインを補完する位置づけとされています。

*手引きは現在、暫定版として公開され、2026年8月12日まで、パブリックコメントを募集しています。詳細は同学会のウェブページをご参照ください。

増え続ける搬送者、それでも減った死亡者

手引きを策定した背景には、日本の熱中症患者さんの救急搬送数と重症者数の増加があります。総務省消防庁と厚生労働省のデータをもとにすると、5~9月の救急搬送者数は年々増え続け、2025年には初めて10万人を突破しました。搬送された人のうち、死亡または重症と判断される「重症化率」は、例年おおむね2〜3%で推移し、搬送者数が増えた分、重症者数も増えています。

一方で、死亡者数には変化の兆しが見られます。死亡者数は2024年に年間2000人を超えていましたが、2025年は概数で1600人前後まで減りました。会見では、搬送時に死亡・重症とされた人のうち実際に亡くなった人の割合も、これまでの80%台から60%台へと下がってきたことが示されました。神田先生は、重症の患者さんの救命が一定程度進んできた可能性があると指摘しました。

配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。