※ これは子ども本人にAIを使わせることをすすめるものではありません。生成AIには年齢要件や保護者同意などの利用条件があり、学校ごとのルールもあります。ここで紹介するのは、親がAIを操作し、子どもの言葉を引き出すための使い方です。
「もっと文字数を増やして」とAIに頼んだ

「もっと文字数を増やして」
3年前の夏、私は生成AIにそう頼みました。渡したのは、当時小学4年生だった長男の読書感想文です。いま思えば、ひどい頼み方でした。でも、この失敗があったから、いま書けることがあります。
読書感想文は、夏休みの宿題のなかで、いちばん後回しになりがちではないでしょうか。子どもはなかなか書き始めないし、親もどう手伝えばいいのかわからない。あの夏の我が家も、そうでした。
長男はうんうん唸って書き上げたものの、規定の文字数に届かない。私はその数か月前にChatGPTに出会ったばかりで、何でも入力してみるのが楽しくてしかたない時期でした。それで、つい、息子の書いた読書感想文をAIに入力し、頼んでしまったのです。「もっと文字数を増やして」と。
返ってきた文章を、ふたりで読みました。
おお、なんかすごい。正しい気がする。息子が書いてもいない感想が、もっともらしい言葉で付け足されていて、一瞬、これで文字数が埋まるなら、と思いかけました。
でも、息子の抗議で我に返りました。
「全然言いたいこと違う」「ぼくはそう思ってない」「そうじゃなくて、こうだよ」。
ふだん「どう思った?」と聞いても出てこなかった言葉が、次々に出てきたのです。
AIのズレた答えが、子どもの本音を引き出した

あのとき、ひとつ気づきました。AIが書いた文章よりも、それを否定したときに出てきた言葉のほうが、ずっと息子らしかった。
まったくの白紙から感想を書くのは、大人でも難しい。でも、目の前に「これってこういうこと?」と差し出されたものがあれば、「ちがう、そうじゃなくて……」と返せることがあります。少なくとも我が家の長男には、そのほうが言葉が出やすかった。
この「ちがう」が、すごく大事なのだと思っています。
否定的な感想がその子らしい、ということではありません。「感動しました」「おもしろかった」だけでは見えにくい、その子自身の感じ方が、「ここはちょっと納得できない」「この場面はもやもやした」という言葉から見えてくることがあります。なぜ納得できなかったのか、どこにもやもやしたのか。そこをたどると、子ども自身の価値観や、感想文のタネになる言葉に出会えることがあるのです。
それから私は、AIに正解を書いてもらうのをやめました。代わりに、わざと少しズラした受け止め方をしてもらって、子どもの「ちがう」「そうじゃなくて」を引き出すために使うようになりました。
