代筆させないために、AIへ伝える3つのこと

放っておくと、AIは子どもの代わりに考えて、答えて、きれいにまとめてしまいます。あの夏の「文字数を増やして」が、まさにそれでした。
それを防ぐために、私はAIにお願いするとき、この3つを伝えるようになりました。
① 子どもの発言を、わざと少しだけ取り違えて返して
② 模範解答も、感想文の本文も、書かないで
③ 子どもの気持ちを、先回りして代弁しないで
これに、子どもの学年と本の名前を添えるだけ。AIに頼むのは、感想文を書くことではありません。親が子どもに聞くための「たたき台」を出してもらうことです。
たとえば、主人公がある大きな決断をする場面について、子どもが「あそこ、ちょっとびっくりした」と言ったとします。それをAIに渡すと、「主人公の行動が急すぎて、納得できなかったのかな?」と少しズラして返してくる。すると子どもは、「ちがう、納得できないんじゃなくて、びっくりはしたけど、なんかわかる気もした」と直す。その「びっくりはしたけど、わかる気もした」が、もう立派な感想文のタネです。そこから、「どこが少しわかる気がしたの?」「あなたならどうする?」と聞いてみる。そうして少しずつ膨らませていきます。

私はそれをその場でメモして、あとで本人に渡します。原稿用紙に向かい、どの言葉を使うかを選び、文章にするのは、最初から最後まで子ども本人です。そこは譲らないようにしています。
我が家の場合の、読書感想文でのたたき台の相手としてAIを使う流れをまとめると、こんな感じです。
① AIに役割を伝える(「少しズレた返しをして」「代筆しないで」「気持ちを先回りしないで」、子どもの学年と本も)
② 本について、子どもがポロッと言ったことを聞き取り、AIに渡す
③ AIの少しズレた返答に、子どもが「ちがう、こういうこと」と言い直す。一度で終わらせず、角度を変えて何度か往復する
④ 出てきた子どもの言葉を、親がメモする
⑤ そのメモをもとに、子ども自身が感想文を書く
子どもの言葉が出てこないとき

少しズレた受け止め方をしてほしいだけなのに、AIは子どもがまだ言葉にしていない気持ちまで、先回りして文章にしてしまうことがあります。本当は、うまく言えないモヤモヤをしばらく抱えて、ぴったりの言葉に自分でたどりつく時間こそが大事なのに。だから私は、答えを急がせないようにしています。はじめの仕込みで「気持ちを先回りして代弁しないで」と添えていたのも、そのためです。
そして、これがどの子にも合う方法だとも思っていません。
モヤモヤを抱えきれず、子どもが「もうできない」「もうわからない」となってしまう日もあります。そんなときは、無理に続けない。今日はここまで、と親のほうから終わりにしてしまっていい。言葉を探す時間が、お互いに嫌な時間になってしまったら、本末転倒だからです。
「うちの子は『ちがう』すら言わない」という日もあると思います。それでも大丈夫。ズレた文章を見て顔をしかめた、笑った。その小さな反応も、立派な手がかりです。すぐに作文にしようとしなくてもいいと思います。まずは、その子が何に反応したのかを一緒に探すところからで十分です。
