血糖値の急上昇を抑えるおつまみはある?メディカルドック監修医が、おすすめの低糖質メニューや避けるべき食材と上手な食べ方などを解説します。
この記事のまとめ
・血糖値は血液中のブドウ糖濃度を、HbA1cは過去1〜2か月の血糖値の状態を表す指標で、空腹時血糖値126mg/dL以上、随時血糖値200mg/dL以上は糖尿病の疑いがあり、110mg/dL未満が正常値である。
・血糖値は摂取する糖質の量や質(GI値)に大きく影響を受け、大豆製品やたんぱく質、食物繊維、ナッツ類を含むおつまみは血糖値の急上昇を抑えやすい一方、じゃがいも料理や穀物、菓子類は血糖値を急上昇させやすい。
・血糖値スパイク(食後の急激な血糖値上昇と下降)が起こると、眠気や疲労感、集中力の低下、イライラなどの症状が現れることがあり、高血糖が続くと多尿や多飲の症状も見られる。
・高血糖の状態を放置すると血管が傷つき、動脈硬化や糖尿病の進行につながるリスクがあるため、血糖値の異常値が続く場合は早めに医療機関を受診することが重要である。
・お酒を楽しみながら血糖値をコントロールするには、食物繊維・たんぱく質・糖質の順に食べる、主食・主菜・副菜をバランスよく摂る、糖質ゼロのお酒を選び適量を守るといった工夫が効果的である。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。
血糖値とは?糖尿病予備軍も注意したいHbA1c

高血糖の判断基準として、血糖値とHbA1cが用いられます。血糖値とは、血液中のブドウ糖濃度のことです。HbA1cは、血液中のブドウ糖が血液中のHb(ヘモグロビン)と結合したものを言います。血糖値は採血直前の食事や運動の影響を受け変動しますが、HbA1cは直前の食事や運動の影響は大きく受けず、過去1〜2か月の血糖値の状態を現します。血糖値やHbA1cの値が正常型以上で、糖尿病型には至っていない数値では糖尿病予備軍と呼ばれ、将来糖尿病を発症しやすいといわれています。
血液検査の「血糖値」の基準値・異常値
血液検査の血糖値の基準値は空腹時(10時間以上の絶食)で110mg/dL未満が正常値です。血液検査の血糖値の異常値は空腹時の血糖値が126mg/dL以上、または随時血糖値が200mg/dL以上の場合です。異常値に該当する場合、糖尿病を発症している疑いがあります。速やかに医療機関を受診しましょう。
血糖値が異常値であることのリスク
血糖値が異常値でも、初期の段階では自覚症状はほとんど現れない場合が多いです。重度の高血糖では喉が渇いたり、体重減少、疲労感などの症状が現れることがあります。異常値を放置して、長期間にわたって高血糖が持続すると、糖尿病へ進行する可能性が高いです。また高血糖が持続すると、血管が傷つき動脈硬化が進むリスクとなります。
血糖値が上がる原因
食事をすると誰でも血糖値が上がります。血糖値が高い状態が続く病気が糖尿病です。食べた物が吸収されると、血液中にブドウ糖が入ってきて血糖値が上がります。血糖値が上がると、インスリンというホルモンが分泌されて血液中の糖を細胞に取り込むため、血糖値は下がります。メタボリックシンドロームなどの内臓脂肪型肥満や運動不足は、インスリンの働きが悪くなる原因の一つです。また、膵臓の機能の低下や遺伝的な体質など、インスリンの分泌が不十分になる場合もあります。インスリンの働きや分泌が不十分であると、細胞に糖を取り込みにくくなり、血糖値が高くなる原因となります。
血糖値と食事の糖質の関係性
食べ物に含まれる糖質は体の中で消化・吸収されるとブドウ糖に変換されます。血糖値はブドウ糖の濃度です。そのため、糖質を摂取するとすみやかに血糖値は上昇します。糖質の他に、たんぱく質や脂質も血糖値の上昇に影響する栄養素です。たんぱく質や脂質は糖質に比べると消化・吸収に時間がかかるため、血糖値が上昇するまでに時間がかかります。また、たんぱく質や脂質は糖質と異なり、消化・吸収されてもすべてがブドウ糖に変換されるわけではありません。そのため、摂取する糖質の量や質などが食後の血糖値に大きく影響します。同じ量の糖質を摂取しても、食品によっては食後の血糖値の上昇が異なります。糖質の質の分類を数値で示したGI値は、食後の血糖値の上昇値を数字で示したものです。GI値が高い食品は食後の血糖値が高くなりやすく、低い食品は食後の血糖値が緩やかになるといわれています。しかし、GI値が低い食品でも過剰に摂取する習慣があると、糖尿病のリスクが高くなるという報告があります。過剰となりすぎないようにしましょう。
血糖値の急上昇を防ぐ低糖質なおつまみとは?

糖質を多く摂取すると、血糖値は高くなりやすいです。血糖値の急上昇を防ぐには、低糖質なおつまみを選びましょう。
大豆製品
大豆製品に含まれるたんぱく質や食物繊維、脂質は胃の排泄速度をゆるやかにし、糖の吸収を遅らせる作用があると報告されています。そのため、食後高血糖の抑制効果があります。メニュー例として、枝豆や冷奴、焼き厚揚げなどがあげられます。大豆製品のカロリーはゼロではありません。食べ過ぎはカロリーオーバーになりやすいため注意しましょう。また、味付けによっては塩分の摂りすぎになる可能性があります。過剰摂取にならないようにしましょう。
肉や魚、卵などたんぱく質を多く含む食品
たんぱく質を食べることは、インスリンの分泌促進や胃の排泄速度をゆるやかにする作用があり、食後高血糖の抑制効果があるといわれています。たんぱく質を多く含む肉や魚、卵は低糖質の食品です。砂糖を使用せず調理すると、血糖値への影響が少ないおつまみになります。メニュー例として、刺身やカルパッチョ、焼き鳥(塩)や冷しゃぶサラダ、だし巻き卵などがおすすめです。肉や魚、卵は低糖質の食品ではありますが、カロリーがある食品です。食べ過ぎはカロリーオーバーになりやすいため注意しましょう。
野菜や海藻、きのこなど食物繊維を多く含む食品
野菜や海藻、きのこに含まれる食物繊維は、糖質の吸収を遅らせる作用があると報告されています。また、食物繊維の中でも、粘性が高いものの方が、血糖値を上げにくいといわれています。メニュー例としては、野菜スティックやオクラの和え物、海藻サラダや海藻の酢の物、きのこのホイル焼きやなめこおろしなどがおすすめです。サラダのドレッシングやマヨネーズなど、調味料によっては高カロリーになる場合があります。また、ドレッシングやもずく酢などは砂糖などの糖質が使われている場合もあるため、糖質を含む食品や高カロリーのものは摂取量に注意しましょう。
ナッツ類
ナッツ類は脂質を多く含みます。また、食物繊維やたんぱく質を含む食品です。脂質の質のバランスが、糖代謝に影響するという報告があります。脂質の種類では、リノール酸やオレイン酸の摂取量が多い人は糖代謝の異常が少なく、また摂取エネルギーに対して、魚や肉由来の油より植物油の摂取割合が多い人のほうが糖代謝の異常が少ないと報告されています。ナッツは植物性の食品であり、リノール酸などを多く含む食品です。素焼きのアーモンド、くるみ、ピスタチオなどがおすすめです。キャラメリゼや砂糖などで糖衣されたものや、ドライフルーツとナッツがミックスされたものでは、糖質が多くなりがちになります。また、ナッツは脂質が多く、食べ過ぎはカロリーオーバーにつながる可能性があるため、少量の摂取がおすすめです。

