『朝顔図屏風』(鈴木其一)
『朝顔図屏風』左隻(鈴木其一), Public domain, via Wikimedia Commons
金箔で覆われた背景に、深い紺色の朝顔と青みを帯びた緑の葉が鮮やかに映え、シンプルながら強さが感じられます。作品には左隻・右隻を合わせて約150輪もの大きな五弁の朝顔と蕾、大小さまざまな葉がランダムに配置されています。
つるは自由自在に伸び、金色の空間を漂うように描かれているため、植物でありながら龍のような動きまで感じられます。白い花や蕾がアクセントとなり、金・青・緑・白のコントラストが、夏の生命力をいきいきと表現しているようです。
其一の一つのモチーフだけで絵を構成する手法は、尾形光琳の国宝『燕子花図屏風』とよく似ています。余計なものを描かず、朝顔そのものの美しさを際立たせる構図は、光琳の装飾性を受け継いでいます。
『燕子花図屏風』(尾形光琳), Public domain, via Wikimedia Commons.
夏を代表する花はさまざまですが、朝顔を思い浮かべる人も多いはず。親しみのある花を描いた作品だからこそ、色彩や構図の美しさに目を向けると、何気ない夏の風景が特別なものに感じられるでしょう。
『夏の日』(ベックリン)
『夏の日』(ベックリン), Public domain.
19世紀スイスを代表する象徴主義の画家、アルノルト・ベックリンによる『夏の日』は、穏やかな夏のひとときを描いた作品です。どこか懐かしさを感じる、のどかな風景が広がっています。
遠くには家々も描かれ、何気ない夏の一日が平和な空気とともに表現されています。明るい色彩とやわらかい光が、爽やかな空気まで想像させてくれるのが特徴です。
ベックリンの作品といえば、幻想的かつ不穏な雰囲気の『死の島』のような作品を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。ベックリンを熱心に支持していたアドルフ・ヒトラーが所有していたことでも知られています。
『死の島』(ベックリン), Public domain.
そんな『死の島』とは対照的に『夏の日』には穏やかで明るい時間が流れています。夏という季節が持つ、幸福感あふれる一枚です。
