『海潮四題・夏』(横山大観)
『海潮四題・夏』(横山大観), Public domain.
近代日本画を代表する画家・横山大観といえば、数多くの富士山を描いたことでも有名ですが、『海潮四題・夏』では夏の海が主役です。重々しくうねる波が岩場へと打ち寄せ、砕け散る一瞬が描かれています。
月明かりに照らされた海面は静けさと迫力をあわせ持ち、きらめく夏らしい海とは異なるものです。空には一羽の黒い鳥が飛び、その小さな姿が海の広大なスケールをより印象的に感じさせます。
本作で用いられているのは、大観が追求した「朦朧体(もうろうたい)」と呼ばれる技法。輪郭線をはっきり描くのではなく、色の濃淡やぼかしを巧みに重ねることで、波のうねりを表現しています。
海が秘める力強さと静寂が特徴の本作。同じ夏でも視点が変わるだけで、違った絵が生まれることを教えてくれる一枚です。
【まとめ】名画を通して、お気に入りの「夏」を見つけよう
「夏」を描いた作品といっても花や海、夕暮れ、暮らしの風景など、画家によって選ぶモチーフはさまざまです。見比べてみると、それぞれが思い描く夏の魅力が見えてきます。
今年の夏は名画を通して、自分だけのお気に入りの「夏」を探してみてはいかがでしょうか。
