「アイス」を食べると”血糖値”はどうなるかご存じですか?注意点も医師が解説!

「アイス」を食べると”血糖値”はどうなるかご存じですか?注意点も医師が解説!

アイスを食べても血糖値を急上昇させないポイントは?メディカルドック監修医が、糖尿病の方の氷菓の選び方やタイミング、血糖値スパイク予防等を解説します。

この記事のまとめ

・アイスに含まれる単純糖質は消化の手間がほとんどかからず急速に吸収されるため、特に空腹時や朝に食べると血糖値スパイクを引き起こしやすい。

・乳脂肪分が多い高級アイスクリームは脂質が糖の吸収を緩やかにするため急上昇しにくい一方、氷菓(かき氷など)やラクトアイスは脂質がほとんどないため血糖値を最も急上昇させやすい。

・血糖値の急上昇を抑えるには、糖質10g以下の糖質オフ製品を選ぶ、ナッツ類や無糖ヨーグルトをトッピングする、1日200kcal・糖質10g以下を目安に量を調整するといった工夫が効果的である。

・食べるタイミングも重要で、空腹時や食後2〜3時間後は避け、通常の食事の「食後すぐ」に適量を味わって食べることで、血管への負担を抑えながら安全に楽しむことができる。

久高 将太

監修医師:
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)

琉球大学医学部卒業。琉球大学病院内分泌代謝内科所属。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。内分泌代謝・糖尿病内科専門医。

アイスの種類と糖質・糖分

アイスの種類と糖質・糖分

市販されているアイスはすべて同じではなく、日本の食品衛生法(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令)によって、乳成分の量に応じて以下の4つの種類に厳密に分類されています。そして、種類ごとに含まれる脂肪分や糖質の特性が大きく異なります。

アイスクリーム(乳脂肪分8.0%以上):乳脂肪分が最も多く、濃厚な味わいが特徴です。高級アイスの多くがこれに該当します。脂質が高いためカロリーは高めですが、脂質が糖の吸収を緩やかにするため、血糖値の急上昇という点では意外な利点があります。

アイスミルク(乳脂肪分3.0%以上):乳脂肪分はアイスクリームより少なめですが、牛乳と同程度の栄養成分を含みます。植物性脂肪が配合されていることもあります。

ラクトアイス(乳脂肪分3.0%未満):乳成分がぐっと減る代わりに、風味を補うために植物性脂肪が多く使われています。さっぱりした口当たりですが、実は油分や、風味を補うための糖質(砂糖や果糖ぶどう糖液糖)が大量に足されていることが多く、血糖値を上げやすい傾向があります。

氷菓(上記以外):シャーベットやかき氷、アイスキャンディーなどがこれに当たります。乳成分はほとんど、あるいは全く含まれません。一見ヘルシーに思えますが、成分のほとんどが「水分と糖質」であるため、ダイレクトに血糖値を急上昇させやすいという落とし穴があります。

このように、アイスの種類によって糖質・糖分の含まれ方や体への吸収スピードは大きく変化するのです。

アイスを食べて血糖値が急激に上がる原因

アイスを食べて血糖値が急激に上がる原因

アイスを食べたときに血糖値が急激に跳ね上がる現象を「食後高血糖」あるいは「血糖値スパイク」と呼びます。これには、人間の消化・吸収のメカニズムと、膵臓から分泌されるホルモンであるインスリンの働きが深く関係しています。

液体に近い単純糖質の急速な吸収

アイスは口の中に入れるとすぐに溶けて液体になります。さらに、アイスに使われている砂糖や果糖ぶどう糖液糖などの単純糖質(構造が簡単な糖分)は、お米やパンなどの複雑な炭水化物と違って、胃腸で分解する手間がほとんどかかりません。そのため、食べた直後から爆発的なスピードで腸から吸収され、血液中に糖が溢れかえります。これが血糖値を急激に上昇させる最大の原因です。健康な人であればインスリンが素早く分泌されて血糖値を下げますが、糖尿病やその予備軍の場合、インスリンの分泌が遅れたり足りなかったりするため、激しい高血糖が続きます。これにより、「急に強い眠気に襲われる」「体がだるくて動けない」「激しく喉が渇く」「尿の回数が増える」といった急性症状が現れます。このような症状がアイスを食べるたびに高頻度で現れる場合は、すでに糖尿病が進行している可能性があるため早めに医療機関を受診してください。

空腹時(朝など)の摂取による「セカンドミール効果」の不在

人間は、前日の夕食から長い時間が空いた「朝」や「激しい空腹時」に、最も糖の吸収能力が高まります。このタイミングでいきなりアイスのような高糖質なものを胃袋に放り込むと、血管内に糖が一気に吸収され、血糖値の急上昇がさらに増幅されます。これを防ぐための「事前のクッション(食物繊維などの摂取)」がないことが原因です。朝一番の激しい血糖値の乱高下は、自律神経を直撃します。アイスを食べて1〜2時間後に、急激に血糖値が下がる「反応性低血糖」を引き起こすことがあり、「異常な冷や汗」「手の震え」「強い飢餓感」「動悸やイライラ」といった自律神経症状が出ることが特徴です。冷や汗や手の震え、意識が遠のくような感覚(低血糖症状)が出た場合は、非常に危険です。すぐに手元にあるブドウ糖や砂糖水を補給してください。その後、速やかに糖尿病内科を受診してください。意識が朦朧とする場合は救急外来への受診も含めた高い緊急性を要します。

冷感による満腹中枢の誤認と過剰摂取

アイスの冷たさは、舌の感覚を一時的に麻痺させ、甘味を鈍らせる性質があります。そのため、常温の飲み物であれば「甘すぎて飲めない」と感じるほどの大量の砂糖が入っているにもかかわらず、冷たいアイスだとペロリと平らげてしまうのです。また、冷刺激が胃腸の動きを一瞬鈍らせるため、満腹中枢が「たくさん糖が入ってきた」と認識するまでにタイムラグが生じ、結果として過剰に摂取してしまうことが原因です。過剰摂取が慢性化すると、膵臓のβ細胞が疲弊し、インスリンを出す能力が完全に枯渇していきます。こうなると、慢性糖尿病となり、自覚症状がないまま数年かけて「足のしびれ(神経障害)」「目がかすむ(網膜症)」「尿が泡立つ(腎症)」といった深刻な糖尿病三大合併症の初期症状が現れ始めます。このような症状が出始めている場合、すでに病状は深刻です。放置すると失明や透析に至るため、ただちに糖尿病内科および症状に応じて眼科を受診してください。

配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。