症状はいつまで続く?5年半のコロナ後遺症診療から考える「備えと治療、回復までの道」

症状はいつまで続く?5年半のコロナ後遺症診療から考える「備えと治療、回復までの道」

後遺症とQOL*―子どもの進学や将来への影響は?

編集部

コロナ後遺症は仕事や学業といった人生の大切な場面にも影響を及ぼすとのことでしたが、具体的にどのような影響が生じるのでしょうか。

大塚先生

大人と子どもに分けて説明します。まず大人の場合、私どもの調査では、就労している患者さんの約54%に休職や退職、時短勤務への移行、仕事のパフォーマンス低下といった深刻な影響がありました。
コロナ後遺症と仕事の関係において難しいのは、後遺症が「外見からはつらさが分からない」ことです。本人は強い倦怠感や頭のぼんやり感に苦しんでいるのに、周りからは普段どおりに見えるので、「怠けているのでは」と誤解されやすいのです。このような精神的苦痛と周囲の理解不足が本人の孤立感を生み、回復をさらに遅らせることもあります。

編集部

子どもの後遺症についても教えてください。

大塚先生

子どもにも後遺症は起こります。大人と同様、倦怠感、頭痛、睡眠障害が三大症状ですが、低年齢の子は言葉で自分の症状を表現できませんから、保護者がお子さんの様子をよく観察する必要があります。
子どもの後遺症の頻度は大人より低く、大人に比べて治りやすいことも分かっています。10代前半のお子さんの後遺症は回復が早い傾向にあります。注意したいのは10代後半の思春期世代で、治療が難航するケースも珍しくありません。思春期世代の後遺症ではめまい、集中力低下、睡眠リズムの乱れなどを訴えることが多いとされています。またこの年代では、感染症そのものによる身体的影響に加え、学校への不安や対人関係などの精神的ストレスが症状と絡み合っている可能性も考慮する必要があります。
このほか、子ども特有の後遺症として、立ちくらみや朝起きられないといった症状があります。これは、立っていると具合が悪くなり、横になると楽になる「起立性調節障害」と呼ばれる自律神経の不調で、もともと思春期に起こりやすいものですが、そこに後遺症が重なると悪化しやすくなります。
後遺症が長引くほど、学校生活にさまざまな影響が生じることが危惧されます。たとえば、不登校状態が続いたり、登校はできても授業についていけなくなったり、部活動を続けられなくなったりするかもしれません。冬にかかれば翌年の受験に影響することもあります。子どもの後遺症に関しては、欠席の扱いや授業中の休憩、体育への参加方法など、保護者と医療機関と学校が連携し、お子さんが安心して回復できる環境をつくることが大切です。

*QOL:生活の質

後遺症は治る? 特効薬は未開発、オーダーメイドケアで回復目指す

編集部

後遺症に対しては、どのような治療が行われるのでしょうか。

大塚先生

後遺症そのものを治す特効薬は、2026年8月現在まだありません。基本的な治療方針は、一人ひとりの症状に合わせた対症療法とリハビリテーションなどを丁寧に積み重ねていくことです。たとえば、頭痛には頭痛薬、眠れない人には睡眠薬を処方します。不足している栄養素が見つかれば補い、倦怠感には体の元気を補う漢方薬を症状の程度や体質に合わせて使うこともあります。ブレインフォグに対しては認知機能回復のためのリハビリテーションを行います。
後遺症の治療は医師、看護師、薬剤師、作業療法士、理学療法士、臨床心理士などがチームになり、多職種連携で体と心の両面から患者さんをケアしていく、まさに「オーダーメイドの診療」です。
多くの場合、しっかりとケアを受け続けることで後遺症は少しずつ回復していきます。時間はかかり、回復までの期間にも個人差はありますが着実によくなっていく病気ですから、「もう治らない」とあきらめず、コロナ後遺症の診療を実施している医療機関にご相談ください。

配信元: Medical DOC

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