脳梗塞を発症すると顔つきはどのような変化が起こる?メディカルドック監修医が顔つきが変わってしまう原因や初期症状も解説します。

監修医師:
村上 友太(医師)
医師、医学博士。
福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長、東京予防クリニック院長を歴任。現在は神宮前統合医療クリニックなどで脳機能向上、認知症予防を中心に診療している。
【資格・所属】
日本脳神経外科学会専門医
日本脳卒中学会専門医
日本抗加齢医学会専門医
日本健康経営専門医
「脳梗塞」とは?

脳梗塞とは、脳の血管が血のかたまりや動脈硬化などによって詰まり、その先の脳細胞に酸素や栄養が届かなくなる病気です。脳卒中の一種で、脳出血やくも膜下出血と同じく、突然発症することが多いのが特徴です。
脳は、手足を動かす、言葉を話す、物を見る、体の感覚を感じる、表情を作るなど、さまざまな働きを担当しています。そのため、どの血管が詰まり、どの脳の場所が障害されるかによって症状は変わります。
脳梗塞は、細い血管が詰まる「ラクナ梗塞」、動脈硬化を背景に太い血管が詰まる「アテローム血栓性脳梗塞」、心臓にできた血栓が脳へ流れて血管を詰まらせる「心原性脳塞栓症」などに分けられます。
脳梗塞の救急診療では「Time is brain(時間は脳である)」という概念があります。脳の神経細胞は虚血に非常に脆弱であり、血流が停止すると1分間あたり約190万個の神経細胞が不可逆的に失われていきます。発症初期に見られるわずかな顔つきの変化や麻痺症状を早期に発見し、一刻も早く専門医療機関に受診することが予後を左右します。
脳梗塞を発症すると顔つきが変わってしまう原因

顔の筋肉を動かす神経経路が障害される
笑う、口を閉じる、頬を膨らませるといった顔の動きは、大脳から脳幹へ向かう神経経路によって調節されています。脳梗塞によってこの経路が障害されると、顔面麻痺が起こります。
大脳に生じた一般的な脳梗塞では、病変とは反対側の顔、特に口元の動きが弱くなる傾向があります。つまり、右の大脳が障害されれば左の口角が、左の大脳が障害されれば右の口角が下がります。
脳幹の顔面神経核や神経線維が障害される
顔の筋肉を動かす顔面神経の中枢は、脳幹の一部である橋にあります。脳幹梗塞によって顔面神経核やその周囲が障害されると、額、まぶた、口元を含む顔の片側全体に麻痺が現れることがあります。
大脳の脳梗塞では額のしわ寄せが比較的保たれやすい一方で、一般的には脳幹梗塞やベル麻痺などの末梢性顔面神経麻痺では額まで動きにくくなります。
顔の感覚を伝える経路が障害される
脳梗塞では、顔の触覚や痛みを伝える感覚経路が障害されることもあります。そのため、顔半分がしびれる、口元の感覚がおかしい、歯科治療後の麻酔のような感じがするといった症状が突然現れます。
しびれそのものは外見からわかりにくい症状ですが、患者さんが口元を気にして触る、表情が不自然になるなど、周囲から顔つきの変化として気づかれることがあります。
発音や飲み込みに関わる筋肉が動きにくくなる
脳梗塞によって顔や舌、喉の筋肉を動かす経路が障害されると、構音障害や嚥下障害が起こります。構音障害とは、言葉の内容はわかっていても、口や舌をうまく動かせず、ろれつが回らなくなる状態です。
また、口をしっかり閉じられないためによだれが出る、水を口からこぼす、食べ物が頬の内側に残ることもあります。こうした変化によって、普段とは違う顔つきに見える場合があります。
意識や視線を調節する脳の領域が障害される
大きな脳梗塞や脳幹梗塞では、意識や眼球運動を調節する領域が障害されることがあります。その結果、ぼんやりして呼びかけへの反応が鈍い、視線が一方向を向いたままになる、目の位置が左右でずれるといった変化が現れます。
これは単なる疲れや眠気ではなく、重い脳梗塞の可能性があります。突然「いつもと目つきや反応が違う」と感じた場合も注意が必要です。

